#2

「自分にできることは何でもするよ」って、だったら「100万円くれ!」

――末期がんを告知されてからたくさんインタビューを受けておられますが、やはりマジメな内容のものが多いですか?

マジメな記事にもなってないよね。そもそも末期がんの俺をインタビューすることが間違ってんだって。働かせるなよ。

映画『アメリ』の買い付けなどで知られる叶井俊太郎氏
映画『アメリ』の買い付けなどで知られる叶井俊太郎氏
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――いやいや、最後にしっかり稼いでおかないと。

まあ、対談本(『エンドロール! 末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論』)も出しちゃうからね。本のリリースと同時に病気の公表をしたんだけど、くらたま(叶井の妻で漫画家の倉田真由美)がコメント出したら、Yahoo!トップになったんだよ。

漫画家・倉田真由美氏
漫画家・倉田真由美氏

そしたら小中高の同級生とか、昔、一緒に遊んでいた女とかがSNSで俺を探して、40~50人くらいから連絡がきたわけ(笑)。

――覚えてないぐらいの相手ですか?

ひとりも覚えてない。でも一応こっちも「ご無沙汰です」とか言っちゃって。いま56歳だから、小学校のときの友達なんて、45年前とかのレベルじゃないですか。「6年1組でしたよね」とか言われても、わかんないよ。

だいたい「覚えてる?」とか「体調大丈夫ですか?」とかそういう内容なんだけど、こっちは末期がんを告知してるんだから、大丈夫なわけないんだよ。みんな「自分にできることは何でもするよ」って締めくくってるんだけど、だったら「100万円くれ!」って言ったらくれんのかよってね。

まあ、そういう人たちから、40年ぶりぐらいに連絡がきたのは面白かった。とにかく、Yahoo!トップってすごいんだなと思いました。

――ちなみに、突然「実はあなたの息子です」みたいな人があらわれたりはしなかったですか?

「死ぬまでに会いたいです!」とかね。あったら面白かったけど、さすがになかったよ(笑)。あとはがんに効くオリーブオイルがあるから送りますねとか、ここの病院に行ったほうがいいとか、自分はヒーリングをやってるから手を当てさせてくださいとか、そういうのもたくさんきた。