「これつけたら、中に入る人に渡せないじゃん」

前述の通り、整理券はリストバンドの形で配布された。配布している地裁のスタッフに理由を問うと、こう返ってきた。

「大きな注目を集める公判などでは、転売や他人への譲渡、並び直して複数回抽選に参加する方が多いので、そういったことができないようにリストバンドを配っています」

リストバンドの装着は義務づけられるているのだが、列に並んでいた20代前半と思しき女性たちが「え? これつけちゃったらだめなんじゃないの? 当たったら、“中に入る人”に渡せないじゃん」と無邪気に話している。

リストバンド(撮影/集英社オンライン)
リストバンド(撮影/集英社オンライン)

リストバンドには「本整理券をはずした場合は当選番号であっても無効になります」と書いてはあるものの、当選者にはその後、引き換え所で整理番号の確認を受けた後に傍聴券が渡されるため、その券を持っていれば誰でも傍聴できてしまう。いったい、なんのためのリストバンドなのか。

撮影/集英社オンライン
撮影/集英社オンライン