小松容疑者は当時から「札付き」の印象しかなかった
いずれにしても目を背けたくなるような“惨殺”であり、この事件は同じ集合住宅の住人の記憶に今も鮮明に残っていた。小松容疑者からの激しい暴行を受けた直後のAさんを目撃したという住人の女性は、こう振り返った。
「それはもうひどいもんだったよ。私はたまたまAくんが暴行を受けた直後に様子を見てるんだけど、顔は原形がわからないくらいに内出血やアザで腫れ上がっていた。Aくんは集合住宅の階段のところに足を投げ出すようにして座って、携帯電話をイジっていたの。小松くんにやられる前から足を怪我して松葉杖をついていたから、足が痛いのもあっただろうし、なんとか家の近くまで戻ってきたっていう風に見えたわね」
内出血で顔がパンパンに腫れ上がっていた様子を見かねた女性が声をかけたが、Aさんは「大丈夫です」と制して自宅に帰って行ったという。しかし、女性は続けた。
「Aくんはなんとか家にたどりついたけど、そのまま玄関で倒れてしまったみたい。私が会った10分後くらいの出来事と後で聞いたので、救急車を呼べばよかったって後悔しました。暴行は集合住宅の自転車置き場のあたりで行われたみたいだけど、ふだんは2人で仲よさそうだったからほんとびっくりしたのよ。Aくんと小松くんはよく自転車で二人乗りしてて、私がそれを注意したこともある。小松くんは本当に問題児で、自転車置き場の屋根を走り回ったり、集合住宅内でもやりたい放題だったわね」
別の女性住人にとっても、小松容疑者は当時から「札付き」の印象しかなかった。
「また人を殴って死なせたの? 前の事件をまったく反省してなかったのはとても残念だけど、正直、また事件を起こしたと聞いても驚きはありませんね。あの2人は同じ中学の先輩、後輩で集合住宅内でいつも一緒にいて、駐車場で楽しそうに追いかけっこしたり、話している姿を見かけました。Aくんは高校にもちゃんと通学してたけど、小松くんは中学にも行ったり行かなかったりでした。Aくんの事件に関しては、そのとき言い合いになってカッとなってやったという話を聞きました。近所の方の話では、小松くんのお父さんはちょっとヤクザっぽい人でお母さんはスナック勤めをしていたそうです。小松くんは小学校高学年くらいから素行が悪くなっていって、親もそれを放ったらかしているような感じでした」
小学校高学年から万引きを繰り返すようになった小松容疑者は、中学に入ると粗暴な行為が目立つようになったという。女性が続ける。
「突然、同級生を後ろから蹴ったり、足をケガしていた生徒さんを蹴り倒して問題になったこともありました」