「じゃあ挑戦を受けるようにさせてやろうぜ」
それでも、キン肉マンの逃げ腰は変わらなかった。いわく、自分は命が惜しいし、オフを満喫したい。だから悪魔超人の挑戦は受けず、代わりにベルトは返上する――。その身勝手な姿勢は直後、超人史に残る惨劇を招くことになる。
「じゃあ挑戦を受けるようにさせてやろうぜ」
激怒したバッファローマンは…
合図は、表情の読めないブラックホールの一言だった。示し合わせたように、バッファローマンは、キン肉マンの小さな侍従・ミートくんの頭を巨大な右手で鷲掴みすると、容赦なく真上に放り投げた。そして、落下してくる二頭身の短躯を目掛け、またもやロングホーンを突き立てる強烈な突進技「ハリケーン・ミキサー」を仕掛けたのだ。
DAAN!
不穏な破壊音と同時に、ミートくんの体はバラバラに裂け、四方に飛び散っていた。身長100センチと、人間なら3歳児程度の背丈しかないミートくんは、生きたまま、頭部、胸腹部、腰部、左右の腕部ならびに脚部と、一瞬で7つの部位に解体されてしまったのである。
スタジアムに子どもと一緒に来ていた保護者のひとりは、面前で起きた猟奇事件を、今も鮮明に記憶している。
「思わず息子の両目を手で塞ぎ、私も顔を背けてしまいました。おそるおそる目を開けると、バラバラになったミートくんの体は、それぞれ7人の超人の手元にあって。彼らはニヤニヤしていました。血は一切飛び散っていなかったので、もしかしてあれは人形だったのかな、とも思ったのですが……。でも、涙目になったキン肉マンが『よくも罪のないミートを!』と叫びながら、バラバラにした犯人、角が生えたリーダーっぽい超人に本気で掴みかかっていたので、これは現実に起きたことなんだと理解したんです」