「日本進出に賭ける本気度の表れといえるでしょう」
9月21日午前9時(日本時間)現在で、貴州茅台酒の企業時価総額は2兆2900億元(46兆6400億円)に達している。日中関係が微妙なこの時期にパーティーを開いた意図は何なのか。
「貴州茅台酒は日本市場への本格進出を狙っており、パーティーはその地ならしの意味合いがあった。狙うのは、日本にやってくる中国の富裕層。インバウンド需要をにらむ日本の飲食業界と手を組むことで、さらなる市場拡大をもくろんでいるようです。日本側の代理店は、中国食品などを扱う渋谷区内の会社が担っていますが、今回は中国本社がお膳立てをしている。パーティーでは社長自らが壇上に上がり、自社製品のマオタイ酒の魅力を売り込んでもいた。日本進出に賭ける本気度の表れといえるでしょう」(同前)
貴州茅台酒側は、8月ごろから関係者への招待状の配布を始めたとされるが、筆者は今回、その招待状と招待客のリストを入手した。
小売り大手のイトーヨーカドー、家電量販大手のビックカメラ、百貨店大手の三越伊勢丹など多くの企業幹部に混じって、「相撲代表」として、中国・内モンゴル自治区出身の元大相撲力士、蒼国来の名前も。幅広い業界から中国とゆかりのある人物がピックアップされているのがわかる。
招待客のひとりが、パーティーの様子を明かした。
「来賓挨拶に立ったのは、元卓球の世界王者、松崎キミ代さんでした。1950年代末から60年代にかけて世界大会を制覇するなど卓球王国の中国ではレジェンド的存在。1961年の世界大会では当時の周恩来首相からマオタイ酒を贈られたエピソードは有名で、この日もその話を披露していました」(同前)
この出席者によると、饗宴で供された料理は、日本の老舗料亭が担当。「最高の一品」として、15年物のマオタイ酒とともに、「黒毛和牛網焼き」が振る舞われた。
ちなみに、中国では2000年代初頭にBSE(牛海綿状脳症)問題が起きたときから20年ほど、日本からの和牛の輸入を禁止していた。