テストのない、即本番が回る撮影現場

ーー現場をふり返っていかがですか?

今回、初めて共演させていただいた二宮和也さんとは、お芝居を通して向き合わせていただきたかったので、ひとつの目標が叶ったともいえる、うれしい現場でした。
クランクイン前、実はタカハタ秀太監督や二宮さんとの打ち合わせなども特になかったんですね。それに本読みやリハーサルも特別なかったので、すべて現場での確認と対応という感じでした。それがこの作品の狙いでもあったようで、いい結果に繋がったのだと感じています。

監督は、あえてテストを省いて即本番を回されるんです。どんなニュアンスが飛び出すのか分からないといったようなライヴ感のある空気の中で撮られてゆきました。

監督は本当に細かい指示も仰らなくて。特に印象的だったのは「変な“間”はむしろ大歓迎です」と仰ったことです。あえてテンポの良さを意識することなく、私の演じた美春みゆきと、二宮さんの演じた水島悟の間にも不思議な間が生まれており、仮に変わった空気になってしまってもむしろ構わないという演出でした。

「映画のテーマと実際の私の思いはシンクロしていたように感じました」
「映画のテーマと実際の私の思いはシンクロしていたように感じました」
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二宮さんは、そんな雰囲気の中で自然に湧き出てきたものを引きあげてくださったうえ、私のお芝居も尊重してくださり、とてもやりやすい空間を作ってくださいました。現場での二宮さんをはじめとした多くのキャストさんとの出逢いが大きな喜びのひとつでしたが、本作『アナログ』自体も「会える」という言葉がキーワードになっているんです。

私は毎日が勉強でしたが、楽しい現場で、全てが刺激となり、映画のテーマと実際の私の思いはシンクロしていたように感じました。