ネパール人犯罪集団
中国人や台湾マフィアの脅威に加えて、首都圏ではネパール人の不良集団が2020年頃から週刊誌などで取り上げられるようになりました。その一つが、「東京ボーイズ」といわれる団体です。
当時の文春オンライン記事によると、次のような書き出しで、ネパール人の不良グループが紹介されていました。
「外国人労働者への依存を強めつつあるニッポンでいま、新たな外国人犯罪グループが林立し始めている。都内では『東京ブラザーズ』なるネパール人不良グループが集団暴行の疑いで逮捕。他にも複数のネパール人『半グレ』グループが暗躍しているといい、警察当局は警戒を強めている。(中略)東京ブラザーズは新宿・大久保周辺を拠点に50人ほどのネパール人メンバーがいるとされる。聞き慣れないグループ名だが、近年、東京都内で勢力を伸ばし、さまざまなトラブルを起こしたことで警視庁がマークを始めた集団のひとつだ」と(「文春オンライン」2020年11月11日)。
さらに、ネパール人の半グレグループは、東京・蒲田に別の組織が存在し、「ロイヤル蒲田ボーイズ」なる不良グループを名乗っているといいます。
「このロイヤル蒲田ボーイズの名前が表に出たのは昨年2月。やはりネパール料理店で、ロイヤル蒲田ボーイズのメンバー5人が店内のBGMを勝手に変えたことに苦情を申し出た別のネパール人男性を暴行した疑いで逮捕されている。他にも『ネパール・ジャパン・ユースクラブ』『蒲田ボーイズ』などの組織があるとされ、メンバーにも行き来があるとされるが、実態はいまだ不明な点が多い」(同前)
ただ、令和2年(2020年)におけるネパール人の刑法犯・特別法犯の検挙人員は、外国人全体の3%に過ぎず、ベトナム35.9%、中国23%と比較すると少ないといえます。警察庁によると「検挙件数・検挙人員ともに、ベトナム及び中国の2か国で全体の約6割を占めている。
また、刑法犯検挙件数(罪種別)を見ると、侵入窃盗では中国及び韓国、万引きではベトナム、自動車盗ではスリランカが高い割合を占めている」として、警察白書も「ベトナム人と中国人が検挙人員の半数以上を占めている」と指摘しています(令和三年版『警察白書』)。
外国人犯罪の特徴として、当局は「組織性」を挙げています。「令和2年(2020年)中の来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は35.5%と、日本人(12.5%)の約2.8倍に上っている。罪種別にみると、万引きで40.1%と、日本人(3.1%)の約12.9倍に上る。このように、来日外国人による犯罪は、日本人によるものと比べて組織的に敢行される傾向がうかがわれる」というのです(同前)。
少子化で働き手不足に悩む我が国では、技能実習生の積極的な受け入れが不可欠です。加えて、アフターコロナで外国人観光客の増加が見込まれます。大阪万博などの国際的なイベントを控え、今後数年間で、在留資格を有する外国人も増加するものと思われます。
そうした東アジアの情勢のなか、非正規のルートで国内に滞在する外国人などには注意が必要です。