なぜ日本の寿司は世界に広まったのか
コロナ禍によって国と国との行き来はしにくくなりましたが、その状況も明けてきました。そんな今でこそ、魚はビジネスチャンスの宝庫です。
これからの時代、世界で伸び続けている魚食や、注目を浴びる日本の魚食文化を味方につけることで、様々な分野でさらなる躍進が期待できることでしょう。
例えば、外国人に食事を出す際、日本ならではの美味しい魚を提供できたら、満足度を高められるでしょう。外国人を案内する際、日本人の魚に対する考え方やうんちくが言えたら、より心を掴むことができるかもしれません。逆に、日本に来て連れて行かれたお店の魚が不味かったとしたら、そのガッカリ感は半端ないものになるでしょう。
そして、世界のセレブにもリスペクトされている日本の魚食は、ワインのように、今後世界の教養になっていく可能性もあります。現に、レディー・ガガは美味しい寿司屋を知っていることで、周りから尊敬されているとのことです。
そもそも、なぜ日本の寿司は世界に広まったのでしょうか。
寿司には、「鮨」「鮓」などの様々な表記がありますが、本書では特段意図がないときは「寿司」と表記します。なお、「寿司」という表記は江戸時代に当て字として生まれました。現代では、「握りずし」に「稲荷ずし」「巻きずし」「ちらしずし」なども含んだ総称として使われることが多くなっています。
さて、味のよさや様々な魚が楽しめる魅力から、日本でも人気の高い寿司。今や世界中に伝播し、各国に寿司店が立ち並ぶ状況を生み出しています。しかし、世界各地の寿司は、日本のそれとは違う形をしているものも多く存在します。
例えば、アメリカで開発された「カリフォルニアロール」はあまりにも有名で、誰もがご存じでしょう。
カリフォルニアロールが誕生したのは、1963年。ロサンゼルスの寿司レストラン「東京会館」が最初に提供したと言われています。巻き寿司を提供したところ、アメリカ人は黒い食べ物を見慣れていなかったためか、気味悪がって海苔を剥がす人が続出。また、当時のアメリカは生魚を食べる習慣がほとんどありませんでした。
このような状況に対して、海苔の外側にもシャリをつけて、生魚は使わずタラバガニとアボカドで巻き寿司をつくったのが、最初のカリフォルニアロールです。