人を惹きつけてやまないあっちゃんの魅力的な人柄は……

2015年、前年に結成30周年を迎えたニューロティカのフロントマンであるあっちゃんを追ったドキュメンタリー映画『あっちゃん』が公開された。

「映画を観た人から母のことをよく聞かれましたけど、あれも調子に乗るタイプなんでね(笑)。映画の中ではしゃべり方が妙に上品なんですよ。でも、母親は客商売をずっとやってきたので、僕以上に人と仲良くなるのはうまいんです。
バンドを始めた頃は、『髪の毛染めるのやめなさい』とか『家の仕事しなさいよ』とか文句を言っていましたけど、僕がテレビに出たりすると全国からお店にお客さんが来るんで、やっぱり嬉しかったんじゃないですかね。ファンを連れて近所に飯を食いに行ったりしていましたね(笑)。今年で87歳になりますけど、『あっちゃん』を撮影していた頃から認知症が始まっていて。家族親戚など初めての認知症だったので、最初は訳も分からず大変でした。今は地元の施設に入っています。
音楽のことは全然わかってなかったと思いますけど、父も母もニューロティカのライブに来たことはあるんですよ。父はロフトにうちのお菓子を持ってきて、お客さんに配ってたことがあるし(笑)、八王子でのライブでは、対バンのロリータ18号のヴォーカル、石坂マサヨの父親と一緒に、ライブの前説をやったこともあります。
母は母で30周年ライブのとき、スタッフに仕向けられて、花束を抱えてステージに上がってきましたよ(笑)。うちの親、結構いじられてますね」

バンド活動を支える最強のコミュニケーション術。ニューロティカ・あっちゃんのまわりに人が集まる理由_4
お客さまがくるたび取材は中断。店主としてのさりげない会話が、また絶妙なのだった。(撮影/木村琢也)
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映画『あっちゃん』を見ると、あっちゃんとお母さんは喧嘩もするけど、お互いに頑張っている姿を一番近くで見ている関係で、深い愛情でつながっていることがよくわかる。
そんな両親から、あっちゃんはどんな生き方を学んできたのだろうか。

「考えたこともないですけど、二人からは『とにかくあいさつだけはしろ』って言い聞かされて育ちました。それと、お店に来るお客さんについて『あの人たちのおかげで、うちはご飯食べられるんだよ』ってこともよく聞かされました。
そんなに特別なことではないと思いますけど、今の自分に活きているとしたら、そんなことなんですかね」

ニューロティカが一度も解散することなく今年で結成39年目を迎え、ここにきてさらに勢いを増しているかのように見える理由は、バンドとしてモチベーションを維持してクオリティの高い楽曲を作り続け、ライブでは高い演奏力を発揮しつつ、エンタメ道を追求しているからに他ならない。
ニューロティカを率いるあっちゃんがそうしたテンションを保ち続けられるのは、いつもまわりに支えとなる人たちがいてくれるからなのではないだろうか。
そして、あっちゃんの周りに魅力的な人が集まってくる理由は、何よりあっちゃん自身が魅力的であり、かつ無類の“人好き”だからなのではないかと思う。

両親のことになるとやや恥ずかしげに、控えめに話すあっちゃんだが、そんなあっちゃんの人柄を作ってくれたのは、優しくて働き者だった両親なのかもしれない。

文/佐藤誠二朗

ドキュメンタリー映画「あっちゃん」

2015年に劇場公開された、ニューロティカ結成30周年記念ドキュメンタリー映画『あっちゃん』(監督:ナリオ)の英語字幕バージョン!
どこにでもあるお菓子屋さんに生まれた男の、どこにもない生き方。イノウエアツシの50年、ニューロティカの30年。すべての答えはこの映画で明かされる。
蒼井そら、綾小路翔(氣志團)、宮藤官九郎、HIKAGE(THE STAR CLUB)、PON(LAUGHIN’NOSE)ら多くの出演陣の証言にも注目!

【プロフィール】
アツシ/1964年10月20日生まれ、東京都八王子市出身。
1984年1月に結成したパンクロックバンド「ニューロティカ」のヴォーカル。
85年、仲間とともに「ネオファミリーレコード」を設立。1stソノシート「Go or Stop!」をリリースし1000枚を完売。89年5月、「キャプテンレコード」より初のフルアルバム「ハーレム野郎」をリリース。インディーズながら渋谷公会堂ライブなどを成功させる。
1990年6月シングル「ア・イ・キ・タ」でメジャーデビュー。以後、何度かのメンバーチェンジをしながらバンド活動を続け、2022年1月にバンド初の日本武道館ライブを成功させる。2023年10月29日(日)には日比谷野外音楽堂でのライブも決定!
その他最新情報は下記でチェックを!
公式ツイッター:@NEW_ROTEKA
公式HP:ニューロティカ公式HP

【撮影協力】
藤屋菓子店(東京都八王子市本町3-9)

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