ティックトックが迎え入れた異業種からの転職者

ティックトックはまたいくつかの異業種からも雇用した。マーケティングチームの多くは元ジャーナリストで、彼らの元雇用主らがとことん仕事を縮小していたのだ。

ある2人は、英国第三政党である自由民主党の元リーダーのオフィスからヘッドハンティングされた。

一方、ティックトックの政府関連および講習制作のテオ・バートラム部長は2人の英国首相の前アドバイザーであった。

ロンドンにインターナショナル部門の基礎づくりを行うため、会社は大量雇用をし、ダブリンではヨーロッパ全土のデータを扱うため5億ドルの信託安全センターを設けると発表した。2020年半ば、ティックトックのウェブサイトに表示される欠員は、その15%がこれら2つのオフィスからのものだった。

タレントにも出費がなされた。クリエイター基金はユーザーをランク付け、アクセス者やユーザーを連れてくるとみなせば、大金を派手に使おうとした。

セレブは安くはつかないため、ティックトックはアカウントを登録しているもののほかのプラットフォームで活動するクリエイターにはお金を提供したいと考えていた。

記者、政治アドバイザー…TikTokがかき集めた異業種からの転職者。これぞ、有名インフルエンサーを濡れ手に泡の金で誘惑する「中国的戦略」_3

ティックトックからのキャスティング依頼がインフルエンサーを通してマーケティングエージェンシーにまき散らされ、すでにユーチューブやインスタグラムで活躍しているコメディアン、ゲーマー、DIYインフルエンサーやペットクリエイターなどに、ティックトックでコンテンツを投稿しないかと要望した。

アカウントを作るためにティックトックは彼らに500ドルを提供した。1週間のスケジュールに従って投稿した動画ごとに、彼らは25ドルを受け取った。ティックトックは8週間で、週に3本、11秒から16秒の動画を投稿することを期待した。

インフルエンサーはほかのソーシャルメディアについては、キャプションにせよ、動画にせよ、コメントは許されず、ハッシュタグ# TikTokPartner に含まれなければならなかった。

要望をすべて満たすと、インフルエンサーには銀行口座に1100ドルが振り込まれた。また、10万ビューに達した動画ごとに追加で200ドル、20万ビューごとに300ドル、100万ビュー以上に達した動画には500ドルが支払われた。

どれだけの人がティックトックの申し出に応えるのだろうか。# TikTokPartner とタグ付けされた公式インフルエンサーの投稿がある一方で、約13万5000本の動画がハッシュタグを使っており、約780億回見られていた。

ティックトックの分析ツールであるPentosを使って集めたデータによれば、そのハッシュタグを用いている動画は平均約5万8000回見られていた。