“生配信”というスタイルへシフトしたことで人気に。
それを支える“企業勢”という存在とは

今、大人気VTuberグループ「ホロライブ」所属のVTuber・星街すいせいが、YouTubeの音楽チャンネル『THE FIRST TAKE』に、VTuber史上初となる登場を果たして再生数1000万回を超える大好評を博すなど、VTuberの才能は拡大を続け、存在が広く認知されるようになってきた感がある。

ここまでVTuberが熱狂的な人気を獲得するようになっていった背景には、一体なにがあるのだろうか。

「近年のVTuberのメインコンテンツは、長時間でも楽に撮影ができる『Live2D』と呼ばれるソフトが普及したことで、“生配信”というスタイルへシフトしたように思えます。優に2、3時間を超えることも多い生配信は、それだけ長くVTuberと視聴者が時間を共有するので、一緒になって文化やお約束を作り上げ、まるで友達としゃべっているかのような楽しさが生まれているのです。
今のVTuber人気には、こうした環境が作り出す“友達感”が大きく寄与しているように思えますね。

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実際、チャットを通して会話ができるので、テレビなどの一方通行なコンテンツより身近なのです。また、長時間の生配信では作り込んだキャラクターが自然と崩れてしまう場面もあり、その“素の性格”が漏れ出てくるところもファンの心をうまくくすぐっていますね」(VTuber業界の事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子氏)

こうした生配信スタイルが広まった背景には、今のVTuber業界を支える“企業勢”という存在が大きく影響しているのだそうだ。

「企業勢というのは、企業が運営する事務所に所属しているVTuberのことで、彼らは業界の先駆者でもあります。有名どころで言うと、今年上場企業となったカバー株式会社が運営するVTuberアイドルグループ『ホロライブ』や、ANYCOLOR株式会社が運営するVTuberグループ『にじさんじ』の人気は絶大で、二大巨頭として知られています。

そしてこの『ホロライブ』や『にじさんじ』といったグループがメインで行なっているのが、生配信というスタイルです。このスタイルの人気が爆発したのは、2020年からのコロナ禍で、ステイホーム時間が長くなったことも理由のひとつと言われています。鬱屈した毎日の中で、いつも楽しそうにしているVTuberたちの生配信は、多くの人にとって憩いの場になったわけです」