事故調査や原因究明の責任の所在

愛する息子が、どのように命を落としてしまったのか、親御さんがその原因を知りたいと思うのは当然のことでしょう。しかし、保護者が県と市に再発防止を目的とした調査委員会の設置を依頼しても、私立幼稚園に対する指導権限がないという理由で却下されました(2014年に私立学校法の一部改正がなされ、現在は私立学校における立入検査が明文化されています)。

「川遊びしていた子供が溺れて死亡しました」毎年夏になると発生する不慮の水難事故死…再発防止に何が必要なのか?_2

また、文部科学省も「地方自治体の対応がすべて」だという回答をしたというのです。幼稚園管理下の保育・教育活動で、こどもたちが誰もライフジャケットをつけていなかったことから、当時、幼稚園のプール事故を調査していた消費者安全調査委員会に事故等原因調査等の申出書を提出、しかし、「川での水遊びは消費サービスに該当しない」という理由で却下されました。

結局、事故調査や原因究明の責任の所在がわからないまま、ただ時間だけが過ぎていきました。

事故から2年たった2014年、刑事事件として起訴されたことにより、被害者参加制度を利用し捜査資料を閲覧できたことで、ようやく慎之介くんの溺死の状況が明らかになりました。事件から4年後、元園長の刑事責任が認定され、業務上過失致死で有罪判決が確定しました。

しかしその間、親御さんは自らの子が亡くなった原因や責任の所在を知らされずにいたのです。どれだけ悔しかったことでしょうか。