こども政策の地域格差
旭川市の教育長は、私が直接面談した際「旭川市には、いじめ対応の専門家がおらず、第三者委員会の委員への報酬が条例で日当7700円と定められていることもあり、経験のある弁護士等に依頼しようにもなかなか難しい事情がある」と証言しました。
旭川市は、2021年の調査で人口32・9万人、北海道で札幌に次ぐ第二の都市です。そのような大都市ですら、こども政策に予算を割くことができず、こども政策担当者も専門家も集められないというのであれば、他の小さな市区町村はどうなるのでしょうか。
全国47都道府県にある1741の各市区町村の全人口の中央値は2万3000人です。当然、もっと人口が少なく、担当者や専門家が不在な地域はごまんとあるわけで、事実上ほとんどの自治体がこどもを専門的にケアする職員を配置できていないということは明らかです。
妊娠、出産、児童養護、保育、教育、医療……すべてにおいて、地域格差が生じている。生まれた場所によって、いざという時に救われる命と救われない命があるということは、この日本で許されることではありません。
このことが、国が責任を持ってユニバーサルサービスとしてこども政策を実施していく、「こども庁」が必要だと考えた理由のひとつです。
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文/山田太郎