子どもがしでかす問題行動は親が悪い?子どもが悪い?
子どもの学業成績については、親の働きかけと子ども自身の素質が絡まりあうさまを見ることができました。親が子育てでもう一つ直面する問題は、子どもがしでかす問題行動でしょう。
すぐカッとなって人に手を出す、大人の言うことを聞かない、さらにはうそをついたり人のものを盗んだりする。こうなると親としては黙ってはいられず、厳しく𠮟ることになります。
しかし子どもからすれば、お母さんやお父さんがすぐ怒って手を出すから、ついイライラして自分も友達に手を出したり反抗したくなってしまうと思っているかもしれません。
実際、親の養育態度が厳しければ厳しいほど、子どもは悪い行いをする傾向があります。あるいは子どもが悪い行いをする傾向が強いほど、親の養育態度は厳しい傾向にあります。果たして因果関係はどちらから先に始まったのでしょう。
ふつうこのような「卵が先かニワトリが先か問題」では、親か子かのどちらかに一方的に原因があるのではなく、双方の間の「相互作用」なのだと説かれます。
子どものふるまいと大人のしつけの厳しさが相互に絡まりあっているのであって、どちらにも一方的に責任を負わせることなく、両方が努力しあおうというのが「正しい」態度とされます。それはそれで、子育ての場では大事な姿勢であることには違いがないのですが、行動遺伝学的な分析をすると、そこには双方のもう少し繊細なメカニズムを垣間見ることができます。