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「木材を売ってもらえない」住宅市場が受けた衝撃

「そんなに遅れるの?」。キッチン用品の展示場では来店するお客から、そのような感想が多数寄せられたという。2020年から2022年にかけて、システムキッチンを展示しているのに、売れても納品ができない。給湯器等も仕入れられない。納期が遅延する前提で売らなければならない。

建設資材ではほぼすべてが影響を受けた。コンクリート、キッチン、および給湯器などキッチン備品、アルミサッシ、壁のクロス、その他、センサー付きの照明器具、トイレ設備、換気扇、コンロ、IHヒーター……。建設資材は価格が全面的に上がり、工期に影響した。

この時期に住宅を建てた人を失望させた。基礎工事が止まる、材料が届かないといわれ別場所での仮住まいを長引かせることになった。挙句の果てには、見積もり費用が異常に膨らんだ。「ふざけるな」と怒りをぶつけても、現場の担当者にとってもどうしようもない。木材が手に入らないのだ。

なかにはマイホームを夢見ていたのに、着工後に部屋数を減らすように勧告された購入者もいる。間取りを変更しなければ当初予算のままでは建てられなかったのだ。

苦しんだのは住宅関連産業だけではなく、他の産業も同様だった。楽器メーカーがギターの生産に影響が出るとした。バイオマス発電にとっても事態は深刻だった。発電用の木質バイオマス材料は高騰し入手しにくくなった。関西電力の朝来バイオマス発電所は稼働を停止した。他にも稼働を停止したバイオマス発電所は多い。

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バイオマス発電の事業者は長期契約を結ぶケースが多くなく、価格が市況に影響を受ける随時調達で購入するケースが少なくない。バイオマス発電で使用する木材チップは、その原料となる植物の成長過程で二酸化炭素を吸収するためにエコな燃料と考えられている。環境面からも推進されていたものの、その方針がつまずいた。