お金を使って幸せになる経験を開拓する
年を重ねれば重ねるほど、お金をもっている人よりもお金を使っている人に、人が寄ってくるようになります。資産1000億円をもっていても、ケチなお金持ちには人は寄ってはきません。
わたしは映画をつくっているので、制作資金を援助してくれるかもしれない資産家を紹介されることがよくありますが、ケチだなと思った人とは二度と会いたくないなと思ってしまいます。お金を使うから人が寄ってくるのであって、お金をもっているから人が寄ってくるのではないのです。もしお金をもっているだけの人に寄ってくる人がいたら、その人は詐欺師だと思ったほうがいいのではないでしょうか。
お金持ちだけれど、孫にお年玉を1000円しかくれないおじいちゃんと、貧乏だけどなけなしの1万円をくれるおばあちゃんだったら、 孫はどちらに寄っていくかはわかりきったことですよね。ケチだなと疎まれるよりも、孫に感謝されて一緒に楽しい時間を共有したほうがよっぽど幸せです。
わたし自身が実践していますが、いまの高齢者たちにもぜひ挑戦していただきたいのは、そのようにしてお金を使うことで幸せになる経験を開拓することです。
高齢者だって立派な消費者。もっとお金を使おう!
少子高齢化の進展などから、年金問題で財政が破綻するといわれていますが、受け取った年金を高齢者が全部使ってくれれば、むしろ経済効果は高いのです。
2019年末の数字ですが、日本の年金受給権者は4040万人、年間の総支給額は52兆9607億円にもなります。この人たちがこのお金を余すところなく使ってくれたら、日本の経済はどれだけ回ることでしょうか。つまり、年金生活者であっても、立派な消費者ということなのです。
ところが現役から退き、働いていない年金生活者は、いわゆる消費者の対象から除外されています。たとえ現役を続けて労働していても、高齢であるということだけで、消費者から外されてしまっている現実もあります。
老後2000万円問題や将来の介護問題などで、不安になっているから高齢者の財布のひもが固く締まっているという点はあるでしょうし、実際に、年金まで貯金するので、老後貯金が増える人も少なくありません。
確かに高齢者向けの魅力的な商品がないのも事実ですが、貯蓄したり、買いたいものを買わずに我慢したりして、お金を使うことに頭を使わないと脳の老化につながるので、ここはお金を有意義に使うことを考えてみたいと思います。