それを象徴するかのように、テラドローンは2022年3月23日に総額80億円の資金調達を発表した。既存投資家であるベンチャーラボインベストメントのほか、三井物産やSBIインベストメント、東急不動産HD、九州電力送配電、西華産業等が新たに出資企業として名を連ねている。

また、今回の大型資金調達では海外交通・都市開発事業支援機構、通称“JOIN”も出資している。

JOINは国土交通省傘下で、海外の交通・都市開発事業への日本企業の参入を支援する目的で生まれた官民ファンドだ。従来は重厚長大なビジネスを中心に投資してきたものの、将来を見据えて成長産業への出資を決断した。

「ドローン革命」の主役はハードではなく”ソフトウェア”

しかし、なぜ官民から80億円もの金額がドローン本体ではなく、UTMを手がけるテラドローンに集まったのだろうか。

その理由について、徳重氏はこう読み解く。

「ドローンはITビジネスと比較されることが多いです。ITビジネスも最初はサーバーやパソコンなどの『ハード』が売り出されましたが、今はSaaSなど『ソフトウェア』の売り上げが大部分を占めるようになっています。ドローンも同じように、やがてソフトウェアビジネスの方が圧倒的に大きくなるでしょう」

ドローンビジネスの勝ち筋は「ソフトウェア」にあり。急成長ベンチャーの経営者が描くビジョンに迫る_3

「IT革命」ならぬ「ドローン革命」の鍵を握るのは、ソフトウェアにありーー。

徳重氏は、会社設立当初からこれを見抜いていた。当時から需要があった空撮や測量、点検、データ分析などを手がけてビジネスを堅調に拡大させ、まずはドローンの活用方法に関する知見を蓄積して「ビッグビジネスを生むための仕込みを行っていた」という。そして、この知見をソフトウェア開発に反映させ、より実用的なソフトウェアを開発した。

その1つが、空の安全を司るソフトウェア・UTMだったというわけだ。

現在、テラドローンはUTMの自社開発を行うだけでなく、運行管理システムの導入数世界一であるベルギー法人のUnifly(ユニフライ)の筆頭株主にもなり、グローバル展開を見据えて共同で次世代システムの開発にも取り組んでいる。