水資源、森林も「爆買い」されている
中国人の買収で問題になっているのが水資源だ。21年8月の西日本新聞の報道によると、熊本県の水源地を北京市の不動産投資会社が数年前に購入していたことがわかった。その後、現地に建物などは建設されていないが、同様の動きは他県でも起きている。
爆買いブームの初期、中国人は単に免税店やドラッグストアで買い物だけをしていただけだったが、日本には、外国人が土地や不動産購入を制限する法律があまりないとわかり、日本にとって大事な資源である水や森林までが、彼らによって、粛々と「爆買い」されている。
報道されると一時的に「規制がないのは国益を損ねる大問題だ」とネットを中心に騒がれるが、報道から時間が経てば、忘れられてしまう。
中にはあまり価値がないと思われる山間部の土地や小さな島までも買われている。23年2月にも、中国人が沖縄県の無人島を購入したことが話題になったが、そうした点について在日中国人はどう思っているのか。知人に聞いてみた。
「日本人から見てあまり利用価値がないと思われる土地でも、たとえば、中国人向けレジャー施設を作るとか、何かに利用できるのでは、と思って買っていると思います。中国で実現できないことが、日本では安価で実現できるので、何かに使える、と考えるのでしょう」
別の知人はこういう。
「結果的にその土地で経済活動が行われれば、周辺経済も潤うなど日本への貢献につながる可能性もあるとは思いますが、日本人は決してそうは受け止めない。恐怖心や怒りを感じます。だから、私は個人的には(中国人による日本の土地の)買い占めには絶対反対です。必要以上のものまで買って、日中関係を悪化させないでほしい」
やや古いデータだが、林野庁の統計によると、17年に外国の法人または個人が北海道で買収した森林面積は東京ドームの約11個分(約53ヘクタール)。そのうちの約半分(25・43ヘクタール)は香港を含む中国系資本によるものだった。
折に触れて報道されている中国人の水資源や土地の買収問題。日本政府は22年秋、安全保障面で重要な土地の利用を規制する「重要土地利用規制法」を施行した。内閣府のサイトによると、北海道、青森県、東京都などにある場所が該当するが、沖縄県の無人島は該当しなかった。
日本政府が手を打たないでいる間に、日本のものが皆、中国資本になってしまうのではないか、街が乗っ取られてしまうのではないか、と心配している日本人は多い。
文/中島恵 写真/shutterstock