長い高齢期を孤独感に捕まることなく
いまは夫婦で、あるいは友人と一緒に、ランチ外食を楽しむ。ランチを外で食べる習慣がつき、それが楽しみになってくると、そこから先、どんなに高齢になっても、あるいは一人になってしまっても、ランチ外出が一日の中の「楽しみな時間」として残り続けることになると思います。
将来、一人になったときのことを想像してみてください。料理好きの人なら、御馳走を作っても、「張り合いがない」と感じるかもしれません。そうなれば簡単なもの、ありあわせの材料で作るだけの料理になってしまいます。まして日ごろから料理をしない人なら、なおさらそうでしょう。
でも、ランチを外で食べる習慣が残っている限り、一人ごはんの楽しみも残り続けます。タンパク質やビタミンなどの栄養不足になる心配も薄れます。
ランチを外で食べる、一人で食べるということが楽しみになれば、長い高齢期を孤独感に捕まることなく乗り切れるような気がします。
おいしいものを食べて免疫力アップ
しかし、高齢者に「外食をしましょう」「好きなものを楽しんで食べましょう」と私がすすめると、「食事制限をしているからできません」と言われるケースがとても多いのです。というのは、コレステロールや血圧、尿酸値などを気にして、食べたいものを食べずにがまんしている人が多くいるからです。
もちろん、重い病気を患っていてどうしても制限しなければならない場合は、がまんも必要でしょう。しかし、「ちょっとコレステロール値が高いから」などという理由であれば、そこはマインドリセットすべきです。
70代になったら、食べたいものをがまんする必要などありません。
暴飲暴食は体によくありませんが、適切な量の飲食であれば、好きなものをがまんせずに食べたり飲んだりしても問題ありません。
食べたいものを食べなさい
高齢者になれば食欲も落ちてきます。また、体にいいと信じて〝粗食〟を実践している人も多いようです。そのため実際には、栄養が不足している人がかなりいるのです。これがどれだけ体に悪いことか。好物をがまんするよりも、食べたいものを食べて栄養を摂ったほうがはるかにいいでしょう。
また70歳の人にとっては、たとえ100歳まで生きたとしても余生はあと30年です。限られた時間をどう生きるか──ということも考える必要があるのではないでしょうか。
そのとき、二つの選択肢があります。一つは血圧やコレステロール値などをいつも気にして、がまんしながら長生きする。もう一つは、たとえ寿命が数年短くなったとしても、食べたいものを食べる喜びを感じながら生活する。どちらの生き方が幸せなのか、考えてみてもいいと思います。
#2『70歳以上の日本人の5人に1人が “しょぼくれ老人”…「タンパク質不足の日本人よ、老けたくなければ、とにかくもっと肉を食え!」と東大卒医師が警鐘するわけ』はこちら
#3『高齢者でやせ型の人は、やや太目の人よりも6~8年早く死ぬ…東大卒医師が警鐘「長生きしたけりゃダイエットはやめろ!」「70代超えたらタバコをやめるな」学者・官僚の誤った指導に憤りも』はこちら