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70歳からは意図的に脳を使おう、体を動かそう

20代、30代の人がスキーで転倒して足を骨折し、病院のベッドで1カ月寝たきりの生活をしたとしても、退院すればまもなく普通に歩くことができるようになります。でも70代ともなれば、そうはいきません。

たとえば、その後寝たきりの生活が続くことにでもなれば、筋力は低下し、骨折が治ったあとも「立つ」「歩く」といった日常生活に必要な動作に支障を来すようになり、介護が必要になるリスクが高くなってしまいます。

このように、「ロコモ(ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略称)」が目立ってくるのも70代からです。

70代というのは、体を動かしたり、頭を使ったりしないといけません。しかしその一方で、多くの人は70歳前後で仕事からリタイアします。仕事をやめてしまうと、これといって体を動かしたり、頭を使ったりする理由がなくなってしまいます。

つまり、この時期からは、本人が意図的に脳を使おう、体を動かそうと習慣化しないといけないのです。そうしないと脳機能も運動機能も使い続けることはできず、あっという間に要介護になってしまうリスクがあります。

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70代になってくると「意欲の低下」が進み、活動レベルが低下

このようなことは多くの高齢者自身がわかっていることではありますが、実際に「使い続ける」ことを実践できる人はそう多くありません。

なぜなら頭では理解していても、70代になってくると「意欲の低下」が進み、活動レベルが低下してくるからです。そしてじつは、この「意欲の低下」こそ、老化で一番怖いことなのです。どんなに脳機能を使おう、体を動かそうと思っても、意欲がついてこないから、何ごとにもやる気が湧かず、興味が持てなくなります。そのため人に会うのもおっくうになり、出不精になる傾向も出てきます。

こういった「意欲の低下」が顕著になってくるのが、70代といえます。

「意欲の低下」は、脳の前頭葉の老化と、男性ホルモンの減少が主な原因となって引き起こされます。