絵に関してだけは自己肯定感があった
――たしかに、純粋にダンスを楽しみ続けられたら最強ですね。キャラでいうとワンダでしょうか。
珈琲 そうですね。プレーヤーとして高みを目指しつつ、ダンスを楽しめるメンタルも持ち合わせている。
――ちなみに各キャラクターにモデルはいるんですか?
珈琲 カボ君はダンスをやっていた頃、仲が良かった友達の立ち振る舞いを参考にしています。恩ちゃんも昔のダンスの先輩をモデルにしているし、みんなが知っているような著名人のモデルはいないですね。イオリ君のモデルは同期で一番ダンスが上手かった奴。僕が好きだった女の子もその子にいったので、そいつのことが嫌いでした。僕はめちゃくちゃ嫉妬しますし、全然いい奴じゃないですから(笑)。
――(笑)。そもそもストリートダンスとは、どうやって巡り合ったんですか?
珈琲 中学生の頃、ヒップホップが好きになって、自分はこっちにいこうと思ってカルチャーを深掘りしていって、ヒップホップにラップ、ブレイキング、DJ、グラフィティなど…いろいろな要素があると知ったんです。僕の出身はかなりの田舎なんですが、周りで誰もダンスをやっていなかったので、「これをやって、すごいヤツになってやろう!」と。
――マンガはずっと読んでいたんですか?
珈琲 読んではいました。『六三四の剣』(村上もとか)とか、『拳児』(原作:松田隆智、作画:藤原芳秀)とか。『拳児』は中国拳法の話なんですけど、主人公が師事する師匠をどんどん変えていくんです。どの師匠も魅力的で、それが面白くて。カボ君の師匠が恩ちゃん、イオリ、壁ちゃんと変わっていくのは、その影響です。19歳でダンスをやめた後、半年ぐらい引き籠ってアニメとマンガを見ていた時期があって、「オレいけそうだな」と思って。
――昔からマンガを描いていたわけではなく?
珈琲 描いたことはなかったです。ただ、授業中にずっと落書きとかしてて、絵に関してだけはずっと褒められていたので、自己肯定感がありました。
――では、あの絵やカラーを自己流で? 専門学校に行ったこととかはないんですか?
珈琲 ないですね。アシスタントも一瞬だけネット上で関わった人とかはいますけど、誰かについたとかはないです。ただ、本はいっぱい買いました。誰にも師事せず映像作品のコンセプトアートを描いているプロの方が海外に居て、改めてデッサンを勉強し直して書いた本があって、僕と境遇が近いので参考になりました。