目の前の大自然に救われます
移住してよかったかどうか、その理由も尋ねてみる。
「私は沖縄、特に今の浜比嘉島にご縁をいただき、住めて幸せです。やむを得ない事情がない限り、東京に戻って暮らすことはないと思います。東京では土を踏むという機会が本当に少ない。ここでは、たとえ仕事で疲れても、目の前の大自然に救われます。東京は人と情報が多過ぎて、常に人と比べるなどし、自分の価値観や存在意義が揺らぐことがあります。でもそこから離れた沖縄の暮らしには穏やかな時間が流れ、自分が一つの生物として有難く生かされていると感じることができます。
島のおじいちゃんやおばあちゃんから聞く、かつて島にあった風習や自然とともに歩んできた人々の暮らし。太古から続く大きな時間の流れを感じながら、夫も私も、ここでの暮らしそのものが我々の生き方であり、日々静かな幸せを紡いでいるのだと気づかされています」
今、あるいは将来移住を考えている人に向けてのアドバイスをもらった。
「いざ移住してみると、生活習慣や考え方等、想像とは違う点も多いと思います。違いを自分の価値観でジャッジしない。習慣や考え方には理由があります。そこに考えを巡らせて欲しい。都会とは違って当たり前。来てくださいと言われた訳ではないです。こちらが地域に入れてもらっているんです。
移住するならその地域の歴史、苦労や問題点、人々の生活観などを知って、相手を重んじることが大事だと思います。
私たちはこれからも、元々住んでいた皆さんと共に、穏やかな島の原風景ができるだけ壊されないよう、敬意をもって生活させてもらいたいと願っています」
取材・文/中島早苗 写真提供/「海のギャラリー かいのわ」沖縄県うるま市勝連浜243-1 ℡ 098-977-7860 https://kainowa.com