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「主観的健康」が圧倒的に低い氷河期世代

あなた自身に起こるであろう「予期せぬ変化」についてお話ししておきます。

「最初の出だし=初職の不遇さが、その後のキャリア人生や健康問題にまで影響を及ぼす」という、厳しいリアルです。

個人の健康が景気や失業率といった社会状況に影響を受けることは、世界中でコンセンサスが得られていて、国内でも1990年代後半のバブル崩壊以降、働く人たちの主観的健康感が悪化していました。

しかしながら、キャリアのスタート時の景気動向が、その後の健康にどのように影響するかはわかっていませんでした。そこで一橋大学経済研究所の小塩隆士教授が、厚労省の「国民生活基礎調査」のデータに含まれる健康に関する項目を用いて分析したところ、氷河期世代には特有の傾向があることが分かりました。

バブルの崩壊により、1990年代後半からどの世代の「主観的健康」も悪化していたのですが、就職氷河期世代はそれ以前の世代に比べて主観的健康が低くなっていました。しかも、2010年代に入り景気が回復しても、氷河期世代は他の世代に比べて健康の改善が鈍く、低い状態が続いていたのです。

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例えば、主観的健康を「最も悪い」「よくない」と評価するリスクは、男性で1・25倍、女性では1・16倍も高く、入院のリスクは、氷河期世代はそれ以外の世代に比べて、男性では1・29倍、女性では1・15倍です。つまり、氷河期世代はキャリア面だけでなく、健康面でも最初の不利な状況が中年期にまで影響するという「絶望」が認められたのです。主観的健康とは、「あなたは健康ですか?」という質問への「私」の答えです。

例えば、糖尿病などを患っていても「私は健康です」と答えれば主観的健康は高い。一方で、なんの病気もなくても「あまり健康じゃない」と答えればその人の主観的健康は低いと評価されます。私も調査研究でよく使うのですが、主観的健康はダイレクトにその後の「健康状態」に強く影響します。主観的健康の高い人ほど寿命が長く、病気の回復が早まります。「病は気から」というように、「私」が「私の健康」をどう知覚するかは、私たちが考える以上に重要なのです。

その「主観的健康」が氷河期世代は低い。「景気が悪い→採用を抑制する」といった企業側の判断が、個人の人生の主観的健康にまで影響を及ぼすとは、実に罪深いことを企業はしてしまったのだと怒りすら覚えます。

しかし、変えようもないありのままの事実なので受け入れるしかありません。