近隣からは「大ちゃん」と呼ばれていた

南アルプス市内にある実家近くに住む女性は、井上容疑者のことをよく覚えていた。

「大ちゃん(井上容疑者)、またそんな悪さしたんか。嫌だな、ほんとに。もう親御さんたちがかわいそうだわ。もう退職されていると思いますが、大ちゃんのお父さんは山梨県内の高校で職員を勤めながら、その高校の女子ソフトボール部の監督をやっていて、家を下宿みたいにして部員の面倒まで見ていました。お母さんは体を悪くされるまでは介護関係で働いてた。弟と妹もいて、この二人はちゃんとした社会人になった。大ちゃんがグレ始めたのは中2ぐらいの頃かな。学校のガラス割ったとか、いろいろ噂はありましたが、私らには人なつこい子でしたね。

高校受験の頃に、『おばちゃん俺、高校受かったぜ』って嬉しそうにしてたのに、それまでの素行不良で結局入学できなかったと聞いています。私の娘にお年玉をくれたことがあって『大ちゃんも立派になったねえ』なんて話してたこともあったんだけどね……」

48歳女性が変死体で発見された遺棄現場(共同通信社)
48歳女性が変死体で発見された遺棄現場(共同通信社)

実家近くに住む男性にとっても、「大ちゃん」はかわいい存在だった。

「小学校のころから『おじちゃん俺が酒飲めるようになったら一緒に飲もうぜ』とかなついてくる、本当にかわいい子供だった。家の前でよくサッカーをやってて少年サッカーに入ってた時期もあったな。

大輔は中学卒業後からほとんど見かけなくなって、そのころ地元の組に出入りしてたって聞いてる。逮捕されたとか薬とか、いろいろ話は聞いてたけど、20年ぐらい前にバッタリ出会ったことがあった。近くの保育園の運動会に、大輔が当時の嫁と一緒に来ていて『自分の子供も通ってて、保護者会の会長やってるんですよ。今は真面目に商売やってるんで、今度飲みに来てください』って言われたんだ。立ち直ってよかったと思ってたんだけど、また事件起こしちゃったか……」

井上容疑者の実家には、両親が弟夫婦と住んでいるようだ。インターフォンを押すと反応があった。事件のことで取材したい旨を告げ、「お母さまですか」と尋ねると、年配の女性の声でこんな答えが返ってきた。

「私は家人ではなく、留守を預かってるだけで何もわかりません」

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班