イギリスで権威ある演劇賞も受賞

鍛え上げられた肉体美に宿る繊細な演技力。映画『aftersun/アフターサン』主演の27歳ポール・メスカルは、若手スター不在のハリウッドを救う救世主になれるのか_3
REX/アフロ
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『aftersun/アフターサン』の撮影後、ロンドンの劇場で『欲望という名の電車』の舞台に立ち、映画版でマーロン・ブランドが演じたスタンリー・コワルスキーに扮したメスカル。セクシーで野獣のように荒々しかったブランド版とは違い、荒々しさに繊細さと思いやりを加えた新しいコワルスキー像を創り出して絶賛されました。

アスリートのような見事な肉体の中に、繊細な精神を宿す貴重な俳優としての地位を確立した彼は見事、イギリス演劇界の最高峰ローレンス・オリヴィエ賞で主演男優賞を受賞。演劇学校を卒業してたった6年、これは快挙です。

今年の1月には、巨匠リドリー・スコット監督が『Gradiator2』の主役ルシアス役にポール・メスカルを抜擢したと発表し、ハリウッドは一気に華やぎました。ルシアスは、前作でマキシマス(ラッセル・クロウ)に殺された、ローマ皇帝コモドゥス(ホアキン・フィニクス)の甥。

メスカルがグラディエーターの格好をし、ローマ時代の大円形競技場に立っている姿が、もう眼前に浮かびます。彼をハリウッドのトップクラスの俳優に一歩近づかせる映画になることは、間違いないでしょう。

文/中島由紀子

『aftersun/アフターサン』(2022)Aftersun 上映時間:1時間51分/イギリス・アメリカ

11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は、離れて暮らす若き父カラム(ポール・メスカル)と、トルコのひなびたリゾート地へやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向けあい、親密な時間を共にする。20年後、カラムと同じ年齢になったソフィ(セリア・ロールソン・ホール)は、ローファイな映像のなかに大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出してゆく……。

公開中
配給/ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト:https://happinet-phantom.com/aftersun/index.html