ドンキにペンギンがいる
ディスカウントストアのドン・キホーテ(ドンキ)を思い浮かべることができるでしょうか。黄色と黒の看板にでかでかと書かれた「ドン・キホーテ」の文字。店内通路は細く入り乱れ、商品はうず高くぎっしりと積み上げられている――。しかし、なにより、ドンキで人々の目を楽しませているのが、マスコットキャラクターのドンペンです。
ドンペンは店の前にオブジェとして、堂々と鎮座しています。そうでなくても店内のどこかにいます。しかもいろいろな姿で。
例えば、大阪・天満橋のドンキ。周辺に飲み屋が多くあるからでしょうか、ドンペンは焼き鳥にビールを持っています。
大阪には狭い範囲に多くのドンキがひしめいていますが、どの店舗でも、ドンペンは少しずつ異なる姿で生息しています。動物園で有名な天王寺のドンペンは動物たちに囲まれていますし、新世界のドンペンはビリケンと一緒です。ドンペンでちょっとした大阪観光ができそうです。
大阪だけではありません。日本全国のドンキにはその土地の名所・偉人をイメージさせるドンペンが多くいます。ドンキのテーマソング『ミラクル・ショッピング』に「ドンキめぐりは癖になる」というフレーズがありますが、まさにドンペンめぐりは癖になる面白さがあるのです。
ドンキにはなぜペンギンがいるのか
先日、『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社新書)という本を出版しました。タイトルにある「ペンギン」とはドンペンのこと。「ドンキのペンギン」略して「ドンペン」というわけです。ドンペンをはじめとするドンキのさまざまな特徴からドンキを考えることで、現代の消費空間や都市空間について批評した本です。
実は、この本で書ききれなかったことがあります。それは、なぜマスコットキャラクターがペンギンであったのか、ということ。動物キャラクターの常連、クマやイヌ・ネコではだめだったのか。もしくはキリンだってサルだってよいはずです。なぜ、さまざまな動物の中からペンギンが選ばれたのでしょう。ドンキにとってペンギンとはなにを表しているのか。この問いを考えることで、「ドンキにはなぜペンギンがいるのか」という問いに、また別の答えを示したいと思います。