法的に一番重要なのは日付
――相続内容以外にも、大事なことはありますか?
はしトモ 僕が大事だと思っているのはこの「付言事項」。法的には書かなくても問題ないんですけど、自分が死んだ時に残すメッセージパートですね。一般的な遺言書は、誰に何を相続させるかを書けば法律上はOK。ただ、僕はそれだけでは足りないと思っていて、その財産を相続させる理由がどこにも書いていない。その“なぜ”を思いにして記すことで、遺言書が本当の意味を持つんじゃないかなと。
――たまに聞く “遺書”って、遺言書とは違うんですか?
はしトモ 言葉は似ていますけど、全く違いますね。遺言書は法的効力のある相続の手続き書類のことで、遺書は法的効力がない手紙です。遺言書の中にある「付言事項」というのは、言うなれば遺書に当たる部分だと思っています。では、せっかくなので書いてみましょうか。
ナカニシ なぜ奥さんに全財産を渡したいのか……なぜだろう(笑)。付言事項は後々に書くとして、とりあえず完成させるには何が足りないですか?
はしトモ 日付は絶対です! ここが抜けていると無効になってしまいます。日付と名前、最後に印鑑を押して完成ですね。
ナカニシ 名前の横に印鑑を……押しました!
はしトモ はい、今ここにナカニシさんの法的に有効な遺言書が完成しました!
(一同拍手)
ナカニシ ちゃんと書き上げるには時間が足りなかったですね。続きは家でこっそりと書きます!
――もし遺言書が2つ出てきた場合、どっちが有効になるんですか?
はしトモ 日付が新しいものが有効になり、日付が古いものは撤回したものとみなされます。また、同じ日付で全く違う内容の遺言書があった場合は、お互いの証拠を出し合ってどっちが先に書かれたかを裁判所で争うことになります。
ナカニシ 例えば、未来の日付で2023年7月15日って書いて、その日付より前に死んじゃったら?
はしトモ 無効ですね。なぜなら、その日にあなたは存在していませんよね?
――ところで、遺言書って書き直せるんですか?
はしトモ はい、何回でも書き直すことができます。ですので、「また書き直せばいいじゃん」くらいの軽い気持ちで書いてもらえたらいいなと思います。一部だけ訂正することもできるんですけど、訂正方法がめちゃくちゃ面倒くさいので1から書き直したほうが早いですね。