米離れで、パックごはんがすすむ
「米離れで、パックごはんがすすむ」。こんな刺激的なタイトルのプレスリリースが2022年10月末に公表された。こう高らかに宣言したのは、パックご飯大手のサトウ食品株式会社(新潟市)。一九八八年に世界で初めて無菌包装米飯(パックご飯)の「サトウのごはん」を発売した、このジャンルの草分けであり、パックご飯の売上額は国内最高とみられる。
「サトウのごはん」の売上は、2021年度に253億9700万円で、19年度に比べて20.8%増と大幅に伸長。直近の二二年度第一四半期は56億8600万円で、前年同期比14.0%増と過去最高の実績になったとプレスリリースは伝える。そのうえでこう続ける。
「この10年間で主食用米の需要は約90%と下降しておりますが、同期間比較での当社売上高推移は、約2倍、主力商品5食パックは2.6倍となっており、その伸長は当社の想定を遥かに上回る急伸長となっております」
主食用米は1割需要を減らし、サトウのごはんは売上高2倍に
主食用米が1割需要を減らした間に、売上高が2倍になった。その理由は主に次の3つにあるとする。
コロナ禍で家庭内食が増えたというライフスタイルの変化に適していたこと。家庭で炊くご飯以上の「炊きたてのおいしさ」を目指した「サトウのごはん」というブランドが、より多くの消費者に受け入れられるようになったこと。パックご飯の位置づけが、災害に備える備蓄用や急にご飯が必要になった時のための「お助け食品」から、主食そのものに変化していることだ。
同社を含むパックご飯の市場規模は拡張を遂げている。農林水産省の「食品産業動態調査」によると、無菌包装米飯(パックご飯)の2021年の生産量は20万6000トンで、19年に比べて12.80%伸びた。
パックご飯は右肩上がりの成長を続けていて、まだピークには達していないとみられる。1988年の発売当時は、パックご飯に限らず、冷凍食品や惣菜のようなでき合いの食品を買うことが「手抜き」と捉えられがちだった。そうした風潮は様変わりし、電子レンジもほぼ一家に一台あるところまで普及した。