息子の名前の農園…母がジェラート屋を経営

母親は経営者としての手腕も発揮し、政憲容疑者の名前をつけた果樹園でプラムやシャインマスカット、リンゴ、モモなどを栽培。その素材を生かしたジェラート店を2019年5月に軽井沢にオープンして成功させ、昨年8月に地元の中野市内に2号店を開店していた。

「政憲は昔からコミュニケーション能力が低くて、もの静かな子でしたね。小学生の頃から、道ですれ違うときに挨拶すると『こんにちは』と頭を下げてくれるんだけど、明るい妹と弟の2人と比べると少し暗い印象がありましたね。今から4、5年前に、地元の消防団とお祭りの保存会を抜けてしまったんだけど、そのメンバーたちも『話しかけても、あまり返事が返ってこない』と言ってましたから。
ちょうどそのころ、父親の正道から『政憲が農業やりたいと言い出したんで、重機を貸してくれないか』と頼まれたんです。それから最初は野菜畑、ぶどう農園を始めて、ジェラート屋を始めたんですけど、社長は正道の奥さんです。奥さんからしても、政憲は長男だから思い入れも強かったのでしょう」(青木家の近くに住む60代男性)

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確保され警察署に移送される青木正憲容疑者(写真/共同通信社)
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青木家の分家の女性もこう語る。

「政憲が行ってた高校は地元じゃ有名な進学校だから、成績は優秀なはずだよ。中学校でも学年で10位以内に入ってなきゃいけないくらいいいところだから。卒業後は私立大に進学したけど親父と話し合って中退したってのは聞いたな。正道は周囲の信頼もあって実力もある。権力があるから強気なのが玉にキズだけど、地元選出議員としては最高の人だよ。
奥さんはやり手で、政憲のことを溺愛していた。ジェラート屋もあいつの名前を使った農園から発展させた。政憲は農業ばっかりで客商売なんてできないからね。政憲は根っから大人しいけど、悪く言えば一般常識に欠けてるとこがあったわな。家にお客さんがきてもロクに挨拶もできねえんだ」

人付き合いの苦手な優しい農業青年がなぜ豹変したのか。2人の殉職者を出した長野県警の取り調べに注目が集まる。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班