結局本当のバカは誰だったのか
しかし、初期コストは高く、中小・零細出版社にはデジタル人材が決定的に不足しており、「いろんな人が来て、いろんなことを提案したものの、経営者にはどれが正しいのか最後までわからなかった。紆余曲折を経て、誌面のPDFをそのまま売ることになったが、特集で最も力を入れた誌面が200円でたった3部しか売れなかった」(有名雑誌を発行する中堅出版社)というのは笑えない話だ。
紙の雑誌と並行して有料デジタル化をいち早く決めたのは経済誌『週刊ダイヤモンド』編集部だった。先の「2027年、紙の雑誌消滅」を予測してのことだったが、ダイヤモンドが有料デジタルを始めた時、ライバル社は「何億円もかけて、全然会員を獲得できていないではないか。バカなことをやっているな」などと悠長に眺めていたものだ。週刊誌編集部も同様で、ダイヤモンドに追随しようとする「バカ」は現れなかった。
しかし、ダイヤモンドはその後、順調に有料会員を獲得し、独走状態に入っていった。紙の週刊誌が消えてなくなっても、独り立ちできる状態にまでなっている。ダイヤモンドが「バカ」だったのではない。他社こそ本当の「バカ」だったのだ。
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