完全に思考が分裂しているが、どうやって自分を納得させたんだ…

「保守」は日本国憲法のとりわけ9条や前文を「GHQ(マッカーサー)に押し付けられたのだ」とほとんど定型的にいうが、片方で「在日米軍は無くてはならない存在」「トランプ政権(当時)こそが日本の安全保障にとって重要」などと言う。完全に思考が分裂している。

この分裂を彼ら「親米保守」はどう補っているのだろうか。ひとつは「面従腹背」である。確かに日本はアメリカに敗北したので、戦後は政治的にアメリカに追従することはやむを得ないとしても、いずれはアメリカと対等な日本を建設する。そのためにはまず経済力の増進が必要であり、そして伸長された経済力を以て現行憲法の枠内ギリギリで自衛力(自衛隊)を増強させる。機が熟せば憲法を改正して正式に軍隊を保有し「真の独立国」になる―。

皮肉なことにマルクスやエンゲルスの「二段階革命論(―ブルジョワ革命を起こしたのち、真のプロレタリア革命を経ることで社会主義国家が建設される)」に似た考え方で、私はこのような考え方を持つ者を「面従腹背型保守」と呼んでいる。

なぜ鬼畜米英を叫んだ戦前の右翼は、親米へと「華麗なる変身」を遂げたのか。靖国参拝しながら”アメリカは同盟国!”の思考分裂_2

戦後日本の「保守」政治家のほとんどが、このタイプであった。アメリカから「特別の措置で釈放」された岸信介も、「戦後右翼のフィクサー」とされた児玉誉士夫も笹川良平も、政治家にはならなかったが戦後政界に深く食い込んだ元関東軍参謀・瀬島龍三も実のところこのタイプだったのではないか。そして太平洋戦争当時、海軍主計将校として巡洋艦に乗り、南方作戦の最中ボルネオで直撃弾を受けた中曾根康弘もこのタイプなのではないか。