「吸うやつ」人気はSNSマーケティングの
成功例となり得る

「吸うやつ」の元祖とも言える「Tara 吸引バイブ」は、Amazon売れ筋ランキング1位というだけでなく、4000以上ものレビューがつき、カスタマーレビュー4.4という高評価を叩き出している。そして、ほとんどのレビューが使用者の「生の声」なのが、類似品と一線を画している大きな特徴だ。

近年、フェムテックの流行などにより女性向けのアダルトグッズは年々知名度を上げているが、グッズの話をしたり実際に使用したりするのには、まだまだ抵抗を覚える人も少なくないのが現状だ。またグッズについて知る機会も乏しく、興味を持ったとしても数少ない情報や商品の中から、取捨選択を迫られてしまう。

そのようななか、いく夫さんが匿名性が担保されたたまま、生の声を聞ける“裏垢女子”という存在に目を付けて、ユーザーたちの声を拾い集め、ブログやTwitterで発信し続けた。そこからSNSで拡散したり、Amazonレビューで好評したりする人が増えるという好循環が起こったことが、この商品の成功の要因となった。

裏垢女子も大絶賛の「吸うやつ」がAmazonアダルトグッズ部門1位になった背景は? ブームの火付け役となったインフルエンサー裏垢男子に聞いてみた_4
いく夫さんが使用者の感想をまとめたレビュー
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「これまでのSNSマーケティングでは、インフルエンサーやサクラにお金を払って感想を書いてもらうという手法がメジャーだったと思います。ですが、そのようなレビューを読んでも『気持ちいいかどうか』『実際にイけるか』といった正確な情報を得ることは難しいのではないかと感じていました。だからこそ、私自身で使用者の声を集めて発信することで“本当にいいもの”を届けられるのでは?と思ったのが根っこにありました」

これまではあまり触れられることのなかった女性向けのアダルトグッズ。そのなかのひとつにシンプルでわかりやすい名前がついたことで、今まで以上にカジュアルな雰囲気で大人のおもちゃの話題に触れられるようになったのが、「吸うやつ」の一番の功績ではないだろうか。今後はどのようなグッズが世に広められるていくのだろうか。

取材・文/越前与