第二、第三の山本由伸の誕生も夢ではない

「素材型」の投手は得てして「良いときは良い、悪いときは悪い」というジキルとハイドのような一面を持つことも多い。ただ、オリックスがここ数年で確立した投手育成術と、山下がプロ入りから過ごしてきた道程を振り返ると、この数カ月で見せてくれた姿は偶然ではなく、必然のように思える。

近い将来、エースに――。気の早い話かもしれないが、3年後のWBCでは侍ジャパンに――。そんな期待を抱かせるだけの素質と実力が、プロ3年目の山下には備わっている。

そしてこの好サイクルは、ここで打ち止めになるとも思えない。第二、第三の山本由伸、次世代のエース候補が、山下以外にも生まれてくるかもしれない。

WBCというイレギュラーな出来事が引き金で実現した「開幕投手・山下舜平大」の衝撃は、本人の未来だけでなく、オリックス・バファローズというチームの未来にも、明るい光を差す事象だったように思える。

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取材・文/花田雪 写真/共同通信社