なぜか実績報告書を送らないニッポンアカデミー

そんなニッポンアカデミーの動きを危険視して、昨年6月21日制定の補助要項で、学校法人が身元保証人となっている場合に限り、補助金を10万円に減額する措置を講じたことは上記の通りだが、その1か月前に、前橋市は学校側に10万円への減額を伝え、了承を得ていたという。
現に、ニッポンアカデミーは、昨年6月と10月の2回に分けて、1人当たり10万円で前橋市に申請していた。しかしながら、依然として前橋市から学校に補助金は支払われずにいる。

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ニッポンアカデミーが運営する長野県高山村にある東京デュアラー校。来日したウクライナ難民がコロナ対策のためここで1週間隔離された

「ニッポンアカデミーが1人当たり10万円で申請してきたので、ニッポンアカデミーから送られてきた実績報告書を判断した上で交付確定を決め、実際に交付という流れになるわけです。
実績報告書とは、学校が身元引受人となり受け入れたウクライナ避難民が『いつからいつまでどんな授業に出て、その間のトータルの授業料がいくらで、学生はいくら学費を納め、残りは学校負担という形で無償で授業を行なった』というようなことが具体的に分かるような報告書です。
ですが、この実績報告書がニッポンアカデミーから送られてこない。そのため、交付確定や支払いという手続きに移れない状況です」(田中氏)

なぜ、ニッポンアカデミーは申請しておきながら、実績報告書を送らないのか。

「あくまで憶測に過ぎませんが、当初の1人当たり30万円の補助金を受けたいのではないでしょうか」(田中氏)

田中氏が言うように、前編で紹介した11月の説明会で、清水氏は支援金の金額がまだ確定していないのだと、学生たちに伝えていた。その時点で、すでに二度も10万円で前橋市に申請していながら、である。
この件についてニッポンアカデミーに質問状を送ったが、期日までに回答が得られなかったので、その辺りの思惑はよくわからない。しかし、このような事情から、避難民自身に学費を支払ってもらう方向に舵を切ったと見ることができる。