「PayPayポイントを使った俺も捕まるのかな…」

3月には愛知県警が、六代目山口組傘下の司興業、町永拓彌副組長を逮捕した。某スーパーのポイントカードを作ったのが、詐欺容疑にあたるとして詐欺容疑で逮捕されたのだ。会員カードの約款に反社会的勢力の排除条項があったため、ヤクザと隠して入会したからということらしい。

「ヤクザはポイントカードも使えない。だったら今まで溜めていたポイントとかはどうなるんだ。この前、PayPayのポイントを使っちゃったよ。オレ捕まるのかな」と、会長は声を落として続ける。

「マイナポイントはどうなるんだろう? あれは国の施策だろう。国民全員にマイナンバーカードを持て、保険証と紐づけろ、そうしたら2万円分ポイントを付与すると言った。
だが、それが暴力団組員だったら国はどうするんだ。ポイントを付与したら、国が暴力団組員に利益供与することになるのか。
施策だからともらったとして、俺たちがそれを使ったら逮捕されるのか。それは国がおかしいだろう?」

会長の不満は止まらない。

「暴力団というだけで警察には狙い打ちされ、普段から人間扱いされない。犬畜生以下だと言われる俺たちが、唯一、人間扱いされるところがある。どこだと思う? 裁判所だよ」

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前出の暴力団幹部も皮肉たっぷりに言う。

「逮捕されれば、警察でも検察でも犬畜生以下の扱いを受けるのに、裁判でだけはきっちり人間として扱われるんだ。しっかりと裁かれるためにな。ここでようやく人権回復さ。どうせだったら裁判所も犬畜生扱いで判決を出してくれるといいのにな」

“公共の敵”とされる彼らも彼らで、社会に対して言いたいことや不満はあるようだ。しかし、それでも彼らの肩を持ってくれる一般市民は少ないだろう。

取材・文/島田拓
集英社オンライン編集部ニュース班