ETCカードを使い770円を詐取したとして暴力団会長を逮捕
三代目山口組の田岡一雄組長は、組員に対して「正業を持て」と繰り返し言っていたといわれ、建設業や土建業で働いている者や飲食業などを営んでいる者もいる。
しかし暴対法や暴排条例により、どこも反社会的勢力と関わりをもったり取引を行わなくなった。おのずとヤクザは裏に回り、彼らの収入源も見えなくなった。
「正業を持っていれば、給料から源泉徴収されている者もいるだろうが、ヤクザは銀行口座がないという建前なんでね。どこかで働いていても、バイト代も給料も現金手渡しが基本。給料明細や振込みが記帳された通帳もない。だったら、わざわざ確定申告なんてしないだろう」(同)
組が何らかのシノギで儲け、その金を組員に分配したとしても現金手渡しだ。ヤクザが自らの収入を証明するようなものはなく、結果、確定申告をすることもない。
「銀行口座も持てない、カードも作れない、電話も契約できない。経済活動をやめろと言われているヤクザに『納税しろ』はないだろう。それどころかヤクザには人権もない。国民扱いされていないんだ。
ヤクザがお上に逆らってもロクなことはないのはわかっているが、さすがにそれはないだろうと思うこともある」と話すのは、ある暴力団組織の会長だ。
その会長が例に出したのは、大阪府警が今年2月、ETCカードの不正使用で六代目山口組傘下、秋良連合会の金東力会長、極粋会の山下昇会長、二代目章友会の新井錠士会長らを逮捕した事件。
「家族や親族名義のETCカードを使い、阪神高速道路を利用するため割引を受け、通常料金との差額をだまし取ったというんだが、その金額がたったの770円。一般人ならありえない」と、会長は声を大にする。
暴力団組員はETCカードを作れない。利用するには他の者のカードを使うしかないが、「ヤクザはそのうち高速道路も走れなくなる」(前出、会長)という。