もっと世界を知れば、ラクに生きられる

——日本にいてももっとラクに楽しく生きるためには、どんな視点があるとよいのでしょうか。

日本にいる時はつい「日本がスタンダードだ」と無意識のうちに思ってしまっていました。でも外に出てみて初めて「日本のほうがちょっとユニークで変わっているかも?」と感じられたので「日本がスタンダードではないかも」という意識を持つと、どこか心がラクになると思います。

それに「こうするとよくなるかも」という、普段とは違うアイデアも浮かんでくるかもしれません。だから、日本から一歩外へ出て、広い視点を身につけることをおすすめします。

また、マレーシア人はよい意味でプライドがないと思います。自国をスタンダードだと思わず、異国の人々から多くを学んで成長していく柔軟性があるんです。

仮にマレーシア人を「スタートアップ」に例えるなら、日本人は「大企業」かもしれません。大企業はどこか、過去の成功ばかりを気にして、失敗しないように業務を進めているところがありませんか?

もし日本で息苦しさを感じているのなら、スタートアップのように、ゼロから突き進んでいくような勢いを身につけてもよいかもしれません。

——忙しいビジネスパーソンでも、広い視点を身につけられる方法はありますか?

取り組みやすいのは、外国人のいるサードプレイスに身を置いてみることです。

日々を忙しく過ごしていると、どうしても思考がせまくなってしまいます。そこで、オンライン・オフライン問わず、外国人と触れあう環境を作ってみてください。英会話教室でも、友人の紹介でも何でもかまいません。きっと視野が広がります。

また、同じ日本人同士でも、世代が異なる人たちとコミュニケーションをとってみると、思わぬ新しい価値観や考え方と出会えるかもしれません。

ちなみに、子どもにグローバルな視点を身につけさせたい方も、同じように外国人の知人や友人を作るのがおすすめです。また、留学生のホームステイを迎え入れるのもよいでしょう。

身近に外国人がいる環境を作っておくと、いざ大人になったときに「日本が当たり前」とは考えにくいと思いますよ。

お金も環境も豊かなのに暗い表情の日本人…「楽に生きる」マレーシア人が教えてくれた、堅苦しい日本で楽しく働くコツは「期待値を“60%”下げること」_3
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——日本では共働きで忙しい家庭も多い気がします。どうしたら毎日がラクになるのでしょうか?

我が家も共働きなので共感しますが、とにかく積極的に手を抜くことをおすすめします!

日本は男性と女性の役割分担が明確な国なので、どうしても「役割を全うしよう」という意識が強くなりがちだと思います。共働き世帯の増えたことで役割の境目はあいまいになりつつありますが、それでも「完璧」を求められる点だけは、根強く残っている気がします。

だからこそ、意識して罪悪感を持たず、役割へのこだわりを捨ててみましょう。おすすめは、お互いの家事や育児への期待値を「60%」に下げることです。60%です。ぜひやってみてください。

それに、夫婦それぞれの役割よりも大切なのは、大切な子どもたちが楽しそうにいること、そして自分たちも楽しむことではないでしょうか。家が多少汚くても、学校の持ちものを忘れても、親子で笑い合えていればハッピーです。

結局「楽に生きる」ということは、他者の違いを認識しながらも、互いの価値観やルールを尊重して認め合えることだと思います。そんな関係性を、会社や家庭で作っていけたら、日本にいても楽しく生きられるのではないでしょうか。

取材・文/永見 薫

#2「「家庭に不機嫌な人がいるのは当たり前」「怒りを正当化する人が多い」マレーシア在住の文筆家が教える“日本の不思議な点”」はこちらから

『東南アジア式「まあいっか」で楽に生きる本』
野本 響子
お金も環境も豊かなのに暗い表情の日本人…「楽に生きる」マレーシア人が教えてくれた、堅苦しい日本で楽しく働くコツは「期待値を“60%”下げること」_4
2023/2/6
¥1,540
184ページ
ISBN:978-4163916583
この本は、日本がなんだか辛いな、苦しいなと思っている方のための本です。
野本さんはマレーシアに家族で移住して10年。いまは海外教育や海外移住について書いたコラムやラジオ、講演会で大人気です。

一見不便で給与水準も低いのに、楽しそうな人が多いマレーシアという東南アジアの国。この国で学んだ人生を楽しく暮らす方法を紹介します。

野本さんは子どもを産む前、「こうすべき」が多い人間でした。
ー子どもが引きこもりになったらどうしよう
ー不登校になったらどうしよう
ーいじめられたらどうしよう

と不安でいっぱいでした。「子育ては親の自己責任で」とか「子どもをちゃんと育てられないのなら産むな」と言う人もいて、「そんなの産んでみないとわからないよ。きっついな」と思っていたそうです。そんな中で「嫌なら転校すればいいだけ」というマレーシア人や「子育てはテキトーでいい」とする日本人たちの存在は光明に見えたそうです。マレーシアに住んでみて気づいたのは、世界は自分が思ってるよりさらに広くて多様だということ。日本はかなりユニークで変わった文化だということでした。マレーシアに来て数えきれないほど様ざまな失敗をし、

―ほとんどのことには正解がない
―他人に期待しないと怒らなくて済む
―他人はコントロールできない
―精神のコントロールは自分でする
―白黒つけるのをやめる
―80%くらいの完成度で世の中に出す
―スピードの方が大事
―他人を助けると自分に返ってくる

といったことを現地の人々から教えてもらい、ずいぶん生きやすくなったそうです。
日本人は圧倒的に「ちゃんとしなくては」で苦しんでる人が多すぎる。しかし世界を見ると、そこまで厳しく緻密さや正確さは求められていないのです。海外進出する企業や学校教育の現場において、感情をコントロールすることの大切さをユニークな視点で書いたエッセイ。 
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