実は花粉症とうつ病は同じ病気
「花粉症とうつ病が同じ病気である」というと、「え そんなことないだろう」と思う人が多いと思います。
ところが、花粉症もうつ病も免疫細胞が起こす炎症が原因となっています。花粉症では、炎症が鼻、目、喉、皮膚などに起こり、うつ病では、炎症は脳に起こります。「花粉症では花粉というアレルギーの原因となるアレルゲンが目や鼻に侵入するから起こるのに、うつ病ではアレルゲンがないではないか」という人もいると思いますが、炎症はアレルゲンだけで起こるものではありません。
炎症とは、体の中で免疫が活発化することで、そのタイプはさまざまです。
うつ病の炎症は、ストレスが加えられ脳の中にダメージ関連分子パターン(DAM Ps)という物質が作られ、これが炎症を起こします。
炎症が続くと脳の免疫細胞が神経細胞のシナプスを破壊し、セロトニンなどの精神を安定化するホルモンが減少します。
ここで、脳内の細胞を紹介しましょう(下図)。
神経細胞は脳の機能の主役ですが、脳全体では1000~2000億個しかありません。その他の細胞はグリア細胞と呼ばれ、神経細胞の10倍も存在します。グリア細胞には機能の違うアストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアの3種類があります。
アストロサイトの数が最も多く、脳全体を埋め尽くすように存在します。アストロサイトは脳全体に栄養を供給し、不要なゴミを除去する働きをしているのです。
オリゴデンドロサイトは神経細胞のシナプスを囲む髄鞘(ずいしょう)を形成します。