給食が食べられる店があった
教職員でもない限り、大人になった私たちがあの学校給食を食べることはもうない。しかし、誰でも給食を食べられる店が渋谷にあった。『6年4組 渋谷分校』である。
エレベーターを降りると、そこは懐かしいものがぎっしり詰まった空間だった。黒板、ランドセル、大きな三角定規…。給食の周りに確かにあった風景だ。スタッフは「先生」というポジショニングで、ジャージを着ている。
案内してくれたのは自分よりもずっと若い女性だったが、6年生当時の自分の担任だった先生は新卒に近かったはずだから、同じような歳なのだと思う。まるで自分一人が昔の学校に、タイムスリップしたみたいだ。
店内は、教室を模した広間と「〇〇室」と名前の付いた個室に分かれている。私が通されたのは「音楽室」。巨匠の肖像画や学習プリントが掲示されている。
早速メニューを開くと、もう何年も口にすらしていない名前があった。