TV局発のファッションブランド「Audire」。働く人たちが勇気もらえる、日本テレビ郡司恭子アナウンサーの挑戦とは_2

15本書いた企画書が全てボツに

──そもそも、郡司さんは「Audire」を立ち上げる前にも、さまざまな企画を提案していたとか?

3年前ポストコロナという言葉とともに、働き方がリモートになったり、周囲のキャリアが目まぐるしく変わったりしていくなかで、自分だけ何も変わらないことが不安でした。

年齢的にも30歳手前。仕事を覚えるために20代はとにかく必死でした。やっと仕事を覚え、“若手”を抜けた達成感で両手を伸ばしたいタイミングのはずなのに、ふと、「私、これからどうするんだっけ?」という、漠然とした不安を感じるようになったんです。

──ある程度仕事を覚えたら、次は自分らしさとは何かに直面したりします。

「郡司恭子の魅力はこれです!」と言えるものがなく、アナウンサーとして人と比べてしまうこともありましたね。

周りを羨ましく思ったり、落ち込んだりすることもあったけれど、「そんな自分を嫌いになるのはやめよう。悩みを受け入れながら何か生み出せないかな?」と思って書き始めたのが、企画書だったんです。

日本テレビには企画募集制度があり、誰でも提案することができるので、大好きだった韓国ドラマのリメイク企画やバラエティ企画を応募し始めました。

──いくつくらい提案したんですか?

全部で15企画くらいですかね。でも実現には至らず、へこみました(笑)

そんななか、私がいくつも企画を提出していることを知っていた人を通じて、CEORY 社から日本テレビに対してアパレル事業の提案があったことを聞きました。

そもそも私は、ドラマのプロデューサーをしている同期と一緒に企画を考えていたときに、「ドラマの主人公が着ている服を、ボタンを押してそのまま買えるようなサービスが作れたらいいよね」と話していたくらい服に興味があって。

水卜アナや徳島アナと一緒に出掛けて、ふたりに似合う服を選ぶこともあります。2人のクローゼットはだいたい把握していますね(笑)。それぐらい洋服が大好きで。

他社のプロモーションにアナウンサーが関わる事は難しいけれど、自社事業としてアナウンサーが取り組むのであれば実現できるのではないかと思い、「企画書を書かせてほしい」とお願いしたことが、ブランド「Audire」の始まりでした。