アイデアは「ちょっと変える」「見立てる」で生み出せる

——ここ2年で約200個のアイデアを出したそうですが、アイデア出しは難しくないんですか?

アイデア出しを難しく考えすぎる人が多いんですが、実はそんなことはないんです。誰でも考えられます!

そもそも世の中にあるものの大半は、ゼロから生まれたものではありません。スマートフォンやパソコンにも前例があり、それを各社がデザインを変え、中身をバージョンアップして新製品を発売しているわけです。アイデア出しも、これと同じように考えてみればよいと思います。

——いしかわさんは具体的に、どうやってアイデアを生み出しているのでしょうか。

すでにあるものを「ちょっと変える」のがコツです。ゼロから1を作るのではなく、1から10へ展開するほうが、アイデアを生み出しやすいと思いますよ。

例えば、私は印鑑メーカーであるシャチハタさんのコンペに「手書き印鑑」を提出して、準グランプリをいただきました。これは、テーマである「印鑑」から離れたところから発想して「印鑑の文字を手書きに変えてみよう」というアイデアから生まれたものです。

商品企画のアイデアクリエイターが実践する「誰もがほしがるアイデア」を量産する習慣_2

あとは、ものを何かに「見立てる」と、ありそうでなかったアイデアが浮かんできます。例えば、外で見かける看板を「これ、何かに似ているな…」と思って生まれたのが「繁華街になる付箋」。身近なものを何かに見立ててみると、そこから新しいアイデアが生まれると思います。

商品企画のアイデアクリエイターが実践する「誰もがほしがるアイデア」を量産する習慣_3

——いしかわさんはアイデアを形にするとき、どんなことに気をつけていますか?

「共感と驚き」のある商品作りを目指しています。プロダクトを生み出す際に、単にデザインが美しければいいわけではない。アイデアデザインは課題を解決するものだから、自分の美観やエゴだけでは解決につながりません。「そこにストーリーがあって、課題を解決できるかどうか」という点に意識を向けています。

——手がけているプロダクトは日用品が多い印象があります。それにも理由があるのでしょうか。

実はこだわりがあります。人々が一番関心があり、接点を持ちやすく課題を感じやすいのが日用品だからです。「もう少しこうだったらいいな」「あるといいな」が叶ったときに、多くの人と共感し合いたいし、もっと使ってもらえたら嬉しいんですよね。