ロシアとの国境に壁をつくるべきだった

「ロシアとウクライナの国境に壁を建設しておけばよかったんだ」と話すのは、イルピンで市議をするエフゲニヤ(40歳)だ。

「ウクライナは旧ソ連の一部であった際に核兵器が配備されていたが、独立時に自己防衛のための核兵器を撤廃した。今、思えば、当時の政治家の決断は間違いだった。なぜなら、私達が核兵器を撤廃したせいで、ロシアは自信を持ってウクライナへの侵略を開始したのだから」

「もし戦争が始まると知っていたら、自分の子どもたちを守るために銃の扱い方を学んだり、数日間耐えしのげるだけの食糧の確保をしていただろう。また、身の安全のために家の地下に防空壕を掘っておいたと思う」

「ロシアとの国境に壁を作るべきだった」「軍事力を増強しておけば」…侵攻から1年、ウクライナの若者たちの「後悔」_5
イルピン市議のエフゲニア

キーウに住む夫妻は、歴史を振り返りながら、後悔の念を語った。

夫のパーベル(30歳)は、「1991年ウクライナが独立した時、ロシアからもっと距離をおく必要があった」と後悔する。

「2014年にクリミアとドンバス、ルガンスクを奪われた時に、軍事力の増強をしておくべきだった。それなのに何もせず、さらにこの8年間で我々の警戒心は途切れてしまい、今日の結果になった」

「ロシアとの国境に壁を作るべきだった」「軍事力を増強しておけば」…侵攻から1年、ウクライナの若者たちの「後悔」_6
妻のレーシャ(左)と夫のパーベル(右)

妻のレーシャ(20歳)は、「今の私たちにできることは、避難してきた人に食糧や衣服の支援をしたり、皆で一致団結して軍隊を支援すること」と話すが、パーベルは「正直に言うとウクライナから出ていきたい」と漏らす。

「ウクライナで私は必要とされていないと思う。私ができる仕事はそこまで需要があるわけでもないし、ここで快適に暮らすためには給料も低い」と生活の苦しさを語った。