世の中の美意識は二極化している
プロレスデビューしてから、「顔のバランスとかパーツの大きさはまったく気にならなくなった」と話す赤井。メイクは好きだが、だからと言って化粧をすることが美しいとは思っていない。
「人それぞれの、そのときのライフスタイルでの、一番美しい形ってあると思うんですよ。私たちみたいな女子プロレスラーが闘うときに一番美しい形もあるし、お母さんが赤ちゃんを抱っこしていて、それがスッピンでも柔らかい母性が美しいと感じる人もいる。
わたしの中で、強いというのは美しいということ。彩羽(匠)選手とか化粧っ気がなくてもすごく素敵だし、里村(明衣子)さんとか本当に美しいと思う。強い女性は美しいです」
いま、世の中の美意識は二極化していると感じている。均一で完璧な美しさを求める人たちと、ありのままの自分を認めてほしいという人たち。赤井はあくまで「バランスが大切だと思う」と話す。
「例えば、ぽっちゃりとした体型を受け入れることもすごくいいと思います。むしろ女の子はむっちりしているほうがわたしは好き。ただ、わたしは身長があるからそれくらいのシルエットになるには100kgくらいにならなきゃいけない。その人その人の、似合うスタイルとか、一番光る体重だったり見た目だったりがあると思います」
赤井にインタビューをして、長与千種の次の言葉を思い出した。
「欠点を隠すのが化粧と違う。奇麗になるのが、化粧と違う。そのときの一番、自分らしい自分を感じるために必要ならば、化粧する。化粧って、そうゆーものよ」(『井田真木子と女子プロレスの時代』/井田真木子/イースト・プレス)
赤井沙希にとって、化粧は戦闘服。彼女はまさに「自分らしい自分を感じる」ために、これからも化粧をし続けるのだろう。
撮影/林ユバ
前編「女子プロレスラーはなぜ美しい? 「お人形さんではいられなくなった」赤井沙希が“見た目”コンプレックスから解放された理由」はこちら
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