インボイス制度も二転三転…ペナルティで思わぬ出費も
昨今話題のインボイス制度は、これまで「免税事業者」として消費税の納税義務がなかった方でも、10月からの制度開始に向けてインボイス登録を行い、「課税事業者」となった場合、消費税の納税義務が生じます。これは収入の減少に繋がりうるため、自営業・フリーランスの方々を中心に大きな影響を及ぼします。
現在「免税事業者」である自営業やフリーランスの方々は、登録を行うかどうかについて正確な情報を集め、慎重に検討する必要がありますが、ここ最近でも負担軽減策の導入や登録期限の延長など、制度変更が頻繁に起きており、最新情報のキャッチは容易ではありません。
インボイス制度に限らず、起業した場合は制度改正についてこれまで以上にタイムリーかつ正確なアップデートが求められます。新たな制度についてきちんと理解しないと、損をしたり、無自覚のうちに法律に違反したりする可能性もあるため、十分な注意が必要です。
特に毎年秋には、自民党の税制調査会が、翌年度の税制について議論します。秋から年末にかけては、連日、税金に関する制度の変更や新設が報道されますので、自分の事業や生活に影響するものがないか、確認しましょう。
たとえば、昨年末に決まった与党税制改正大綱には、インボイス制度の負担軽減策の導入のほか、燃費の性能によって自動車重量税が安くなる「エコカー減税」の期限を3年間延長することや、防衛費を増額するために法人税が増税されることなどが盛り込まれました。
事業拡大に努めるあまり、制度への対応は後回しになりがちですが、期限を過ぎると本来受けられたはずの優遇措置が受けられず損をしてしまうケースや、納付遅れにより延滞税を支払わなければならないケースもあるため、早めに対処しましょう。
このように、起業やスタートアップへの転職には、たくさんの「落とし穴」が潜んでいます。
とはいえ、国や自治体で、補助金や創業支援施設の新設といった、起業家・スタートアップ支援がこれまでになく充実している今は、起業するにはいいタイミングです。
先輩起業家の話を聞けるイベントや、弁護士や公認会計士といった専門家の無料相談の機会も増えているため、それらをうまく活用し、しっかりと計画を立て、着実に実行しましょう。
起業のメリットだけでなく注意点もよく理解したうえで起業すれば、自分次第で事業を大きくする可能性は、これまで以上に広がっています。
文/加藤雄次郎