小6→中1で変化する部分もあるが、それほど大きくはない

――中学受験をして進学した場合、小6から中1への変化はどの程度のものなのでしょうか?

 個人内の変化に注目した場合、「勉強がどれくらい好きか」については、4段階評価で平均0.2ポイントほど否定的な方向に変化する傾向がある一方、「授業が楽しい」と「自分の学校が好き」の各項目については0.3~0.4ポイントほど肯定的な方向に変化する傾向がありました。単純な集計値で見ても、中高一貫校に進学した人は小6時点で公立に行く人よりも平均的に「勉強を楽しい」と思っているスコアはやや高くて約3点なんですね。これが中学に行くと2.6程度になります。

――多くて0.5ポイントくらいしか動かないと考えると、小6から中1の変化は微増・微減なのかなという印象を受けます。中学受験組と公立組ではどんな傾向の違いがありますか?

 受験をして中高一貫校に行った生徒のほうが、もともと勉強が好きな子たちではあります。「授業が楽しい」に対する回答の平均値は、中1時点で一貫校では3.1、公立では2.8。平均ではそんなに差がないように見えますが、「全然楽しくない」という子が前者では少ない。「学校が好き」に関しても「すごく嫌い」な子は一貫校にはあまりいません。

ただ、「勉強が好き」の質問に対しては一貫校組でも中1時点で、「あまり好きでない」「全く好きでない」と答える子が4割いて、公立だと約半数になります。なお、一貫校に行った子でも公立に行った子でも「友だちと過ごすのが楽しい」や自尊感情に関するスコアには統計的には差がありません。

――中学受験に際して、「校風を知った上で入ってきた同程度の学力の生徒が集まるから公立に行くより過ごしやすくて仲間もできやすい」という話がしばしば語られますが、統計的に見れば、自尊心や友だち付き合いの楽しさについては別に公立に行くのと変わらないと。

 私立の学校関係者などが、生徒の獲得競争をしている中でそうした発言をするのは理解できますが、「受験して中高一貫校に行けばバラ色」とは統計的には必ずしも言えません。