〈柏・同居女性“殴打死”事件に驚愕の新事実〉「また人を殴って死なせたんですか?」逮捕された男は13歳時に16歳少年を松葉杖で殴り失血死させていた…「当時から“札付き”の印象しかなかった」
「この事件を風化させてはいけないという強い思いがあった」。8年前に当時高校1年生だった16歳の息子を傷害致死事件で亡くした母親は昨年暮れ、栃木県宇都宮市内で開かれた「命のメッセージ展」でこう静かに決意を語った。息子の命を奪ったのは仲のよかった友人のはずの、当時13歳の中学2年生。当時のその年齢ゆえに罪に問われることのなかった「触法少年」はその後、ヤクザに憧れる“大人”になり、今度は自分の「彼女」を…。千葉県柏市で同居していた斎藤瑞希さん(24)を20分間にわたって殴打、2週間後に死亡させ、千葉県警に傷害容疑で逮捕された小松魁人容疑者(22)のことだ。事件被害者遺族の思いは、届かなかった。
当時13歳だった中学2年の少年を栃木県中央児童相談所に送致した
小松容疑者の“初犯”について共同通信は2015年1月27日、以下の記事(被害者は実名)を配信している。
<26日午後5時ごろ、宇都宮市の集合住宅に住む高校1年のAさん(16)が、自宅の玄関付近で倒れているのを母親が見つけ119番した。Aさんはその後、死亡が確認された。栃木県警によると、Aさんは顔面などに殴られたような痕があった。Aさんと最後に一緒にいたとみられる少年(13)が死亡の経緯について何らかの事情を知っているとみて、詳しく事情を聴いている。
Aさんと少年は、昼ごろAさんの自宅付近で一緒にいたところを目撃されていた。Aさんは母親と2人暮らし。Aさんはこの日学校を休んでいた。母親が仕事を終え帰宅した際に発見した>

小松容疑者に20分間殴られ、後に死亡した斎藤瑞希さん(知人提供)
そしてちょうど1カ月後の2月27日、共同通信は「宇都宮高1死亡、中2少年を家裁送致」の見出しで次の記事を配信した。
<宇都宮市の集合住宅の一室で1月、この部屋に住む高校1年のAさん(16)が倒れ、死亡が確認された事件で、栃木県警は26日、傷害致死の疑いで、当時13歳だった市内在住の中学2年の少年を栃木県中央児童相談所に送致した。少年は同日、宇都宮家裁に送致された。少年審判を開くかどうか決めるための調査が行われる。捜査関係者などによると、Aさんと少年は同じ中学の先輩と後輩だった。当初から関与を認めており、県警が裏付けを進めていた。少年は「かっとなってやった」などと供述していた。県警によると、Aさんの死因は全身打撲の失血死。顔など全身を10カ所以上殴られていたという>

小松容疑者(知人提供)
事件当時、Aさんは足首を骨折して松葉杖を使用しており、「少年」は素手だけでなく、その松葉杖を使って殴打を繰り返したという報道もあった。
小松容疑者は当時から「札付き」の印象しかなかった
いずれにしても目を背けたくなるような“惨殺”であり、この事件は同じ集合住宅の住人の記憶に今も鮮明に残っていた。小松容疑者からの激しい暴行を受けた直後のAさんを目撃したという住人の女性は、こう振り返った。
「それはもうひどいもんだったよ。私はたまたまAくんが暴行を受けた直後に様子を見てるんだけど、顔は原形がわからないくらいに内出血やアザで腫れ上がっていた。Aくんは集合住宅の階段のところに足を投げ出すようにして座って、携帯電話をイジっていたの。小松くんにやられる前から足を怪我して松葉杖をついていたから、足が痛いのもあっただろうし、なんとか家の近くまで戻ってきたっていう風に見えたわね」

シャンパンを開ける小松容疑者(知人提供)
内出血で顔がパンパンに腫れ上がっていた様子を見かねた女性が声をかけたが、Aさんは「大丈夫です」と制して自宅に帰って行ったという。しかし、女性は続けた。
「Aくんはなんとか家にたどりついたけど、そのまま玄関で倒れてしまったみたい。私が会った10分後くらいの出来事と後で聞いたので、救急車を呼べばよかったって後悔しました。暴行は集合住宅の自転車置き場のあたりで行われたみたいだけど、ふだんは2人で仲よさそうだったからほんとびっくりしたのよ。Aくんと小松くんはよく自転車で二人乗りしてて、私がそれを注意したこともある。小松くんは本当に問題児で、自転車置き場の屋根を走り回ったり、集合住宅内でもやりたい放題だったわね」
別の女性住人にとっても、小松容疑者は当時から「札付き」の印象しかなかった。
「また人を殴って死なせたの? 前の事件をまったく反省してなかったのはとても残念だけど、正直、また事件を起こしたと聞いても驚きはありませんね。あの2人は同じ中学の先輩、後輩で集合住宅内でいつも一緒にいて、駐車場で楽しそうに追いかけっこしたり、話している姿を見かけました。Aくんは高校にもちゃんと通学してたけど、小松くんは中学にも行ったり行かなかったりでした。Aくんの事件に関しては、そのとき言い合いになってカッとなってやったという話を聞きました。近所の方の話では、小松くんのお父さんはちょっとヤクザっぽい人でお母さんはスナック勤めをしていたそうです。小松くんは小学校高学年くらいから素行が悪くなっていって、親もそれを放ったらかしているような感じでした」
小学校高学年から万引きを繰り返すようになった小松容疑者は、中学に入ると粗暴な行為が目立つようになったという。女性が続ける。
「突然、同級生を後ろから蹴ったり、足をケガしていた生徒さんを蹴り倒して問題になったこともありました」
「注意した先生の手にシャープペンを突き刺したこともありました」
事件後間もなく、小松一家は集合住宅を去っていった。小松容疑者の中学時代の同級生だった女性はこう証言した。
「今回の事件の報道を見て、変わってないというか、またやったのかって呆れてました。中2のときに先輩を殴って死なせて 警察に捕まってからは学校に来なくなり、その後は忘れてましたけど、テレビニュースに映った姿を見て思い出しました。見た目も中学の時から黒髪短髪であんな感じで、当時から暴力を振るっているのを何度も目撃しました。
入学当初から素行が悪すぎて、『どこの中学校からも受け入れ拒否をされて、ウチの中学に校区外から通っている』みたいな噂があって、それを確認した同級生に対してキレて殴りつけていました。小松くんを注意した先生の手にシャープペンを突き刺したこともありました。そうやって暴力をふるって目立っていましたが、世渡りが上手なのか男の先輩にはうまく取り入って可愛がられていました。同級生は男子も女子も怖がってたし嫌ってましたけど」

オープンカーに乗る小松容疑者(知人提供)
当時の同級生の保護者も、小松容疑者の存在を持て余していた。
「正直、ウチの子供とは関わってほしくないというのが本音でした。キレやすくカッとなると抑えがきかないのだと思っていましたから。それくらい頻繁に暴力沙汰は起こしていました。見た目は不良っぽくもなかっただけに、なおさら自分を抑えられない何かがあるのかなとかと思ってました。
部活でも最初に入った陸上部で問題を起こして、野球部に移ったと聞いています。ご両親と彼の3人で近所のスーパーで見かけることがあり、小松くんが買い物袋を持ってあげたりしていて、そういう様子だけ見ると普通の子に見えたんですけどね」
我が子を亡くした事件を風化させまいと願ったAさんの母親は、小松容疑者が再び起こした事件をどう受け止めているのか。自宅を訪ねてインターフォンを押すと、母親と思われる女性が玄関口に現れ、記者の差し出した名刺を受け取った。
「小松容疑者が再び事件を起こしたことはご存じでしょうか?」と尋ねると「知ってます…」と多くを語らず、肩を落とし、ひっそりとドアを閉じた。
小松容疑者にとって「命」とはなんだったのだろうかー

斎藤さんの自宅前には花束や飲み物が置かれていた
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班