iMacの比ではなかった「初代Macの衝撃」
40年前、コンピュータグラフィックスに興味を持ち、自らのプログラミングによって自分用のグラフィックツールを作るようなことをしていた筆者が、初代Macintosh(以下、初代Mac)を見て感じたのは、「コンピュータがメディアとなる時代」の到来である。
GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)とマウスによる操作、そして、現実の書類や文具を画面上で再現したかのようなソフトウェアの数々は、一般ユーザーがツール自体を作る必要がなくなり、「既存の優れたツールを使って何を作るか」が問われるようになることを意味していた。
初代Macは、スティーブ・ジョブズという強烈な個性を持つカリスマリーダーの「宇宙に凹みを作る(=歴史に残る偉業を行う)」という想いをストレートに反映したマシンだった。
呪文のようなコマンドを覚えなければ使えないマニアや専門家向けのコンピュータではなく、誰もが使えるコンピュータを。冷たい機械ではなく、ユーザーフレンドリーなまるでペットのような製品を。そして、移動効率を飛躍的に高めた自転車のように、人の知性を増幅できる“知的自転車”をジョブズは望み、それを形にしたものが初代Macだといえる。
ミレニアル世代には、トランスルーセントなツートーンカラーで一斉を風靡した初代iMacの斬新さが印象に残っているかもしれないが、iMacが主に外観の革新だったのに対し、初代Macは、その後のパーソナルコンピュータのあり方を根底から変えるほどのインパクトを業界にもたらしたのである。
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