今のAppleに「足りないもの」とは?

最後に、今のAppleに足りないものを挙げるとすれば、「ジョブズ時代に見られた大胆さ」ではないだろうか? 

もちろん、Appleほどの規模になれば、ティム・クックの冷静さや慎重さが会社の運営に功を奏していることは否めない。しかし、たとえば生成AIに関してMicrosoftはいち早くOpenAI社に投資して、自社アプリのCopilot機能を充実させ、WindowsマシンのキーボードにCopilotキーまで装備できるようにするという対応の素早さを見せた。

Appleも今年は生成AI関連技術をデビューさせ、「ファーストになるよりベストを目指す」ことを証明しようとするはずだが、世の中の動きはかつてないほどのスピード感を増している。それに呼応して、もっと身軽に動くことも、これからのAppleには必要ではないかと思うのである。

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現在のAppleは機械学習技術に力を入れているが、表面上、生成AIのトレンドに乗り遅れている。昨年秋に販売が終了したMacBook Proの13インチモデルでは、「Touch Bar」という帯状のタッチスクリーンに純正のAIアシスタント機能のSiriボタンが設けられていたが、今は地味なマイクアイコンキーで代用されている。より明確なSiriキーとして復活する日は来るのだろうか?

文・写真/大谷和利

※ビル・アトキンソンに直接確認のうえ、一部修正・加筆しました