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KEIO Mental #19
試合は答え合わせでしかない

なんとかなるでは決して乗り切れないこともある

甲子園で優勝するまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。何度も大きなピンチに直面しましたが、そのたび塾高の選手たちが「想定内」といっていたのが印象的でした。これはたゆまぬ事前準備を重ねてきた証です。

「本当のプラス思考人間」は、苦しいと楽しくなります。なぜなら準備がしてあるからです。

投手の鈴木(佳門)君は夏の県大会前から本調子ではありませんでした。県大会準々決勝でコールド勝利目前の場面で登板し、次戦のために早く試合を終わらせようと思うがあまり、コントロールが定まらず、ストライクが入らなくなることがありました。

世界のイチローと甲子園優勝の慶応野球部の共通点は「苦しいと楽しくなる」。口先だけでも効果が抜群だという、つらいことを楽しむ力「苦楽力」とは?_1
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解決策を模索して、鈴木君は私に連絡をくれました。悩んでいた彼に、「調子の良い時の自分が今の自分にアドバイスをくれるとしたら、どんな言葉だと思う?」と尋ねました。

彼は「打たれても構わないので、自分を信じてしっかりと腕を振って球を放れ」と答えました。

そして、「コントロールが定まらない時にコースを狙って投げても外れてしまうのは当然のこと。ど真ん中に思い切り投げれば、ストライクゾーンに適当に散らばってくれると思う。自信を持って投げます」と自分で答えを見つけました。

思い切り投げればどうにかなる、ではなく、彼なりの解決策を見つけたことに価値があります。なんとかなるでは決して乗り切れないこともあるのです。

その後鈴木君は準決勝の東海大相模戦、決勝の横浜戦と甲子園に向けて、登り調子になり、甲子園でも活躍してくれました。