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知られざる「中退」のリアル―指定校入学者の8割という例も!

近年、大学・専門学校進学後の中途退学(中退)が世間の注目を集めています。

2012年時点でのデータでは、大学進学者の8人に1人が中退していました。仮に高校1クラスから35人が大学へ進学したとして、そのうち4〜5人程度が中退した計算になります。さらに別の4〜5人程度は留年を経験。実に4分の1が、大学を4年で卒業していませんでした。一般的にイメージされているよりも、今の大学は卒業しにくいのです。

読売新聞は2008年から19年まで「大学の実力」と題する全国調査を実施していました。国公私立すべての大学に対して調査票を送付。入学から4年後(医・歯・薬学部は6年後)時点での中退率や留年率、正規雇用率などを学部ごとに調べたのです。中退率は一般入試やAO、指定校推薦、附属校推薦など入試種別ごとのデータを掲載するこだわりよう。調査結果は全国紙での掲載(※一部データのみ)に加え、書籍としても刊行されました。

大学進学者の8人に1人が辞めている衝撃の事実。指定校入学者8割、一般入試10割という中退例も…大学側が伏せる不都合な真実とは_1
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調査結果は、高校教員や高校生、その保護者にとって衝撃的なものでした。入学4(6)年後に卒業している学生の比率を「標準修業年限卒業率」と呼ぶのですが、これが7割を切っている大学が珍しくなかったからです。

難関国立大でも留年率が高く、標準年限卒業率が5〜6割台という学部は多く存在しています。私大では、入学者の3割以上が中退している学部も散見されます。

入試種別ごとの中退率に至っては、「指定校推薦で入学した学生の8割以上が中退」「一般入試の入学者が100%中退」といった例もありました。しばしばウェブやSNS上では「筆記試験で入学した学生は優秀で、AOなどの推薦入学者は授業についていけなくなる」といった言説が見られます。

ですがこうした中退率や成績評価の数字(GPA)などを見る限り、これは必ずしも事実ではありません。実情は極めて多様です。